平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説

問1 ポライトネス理論

 ポライトネス理論 (Politeness Theories)とは、ブラウン (P.Brown)とレビンソン (S.Levinson)によって提唱された、会話において両者が心地よくなるよう、あるいは不要な緊張感がないように配慮するなど、人間関係を円滑にしていくための言語行動によって、人はお互いのフェイスを傷つけないように配慮を行いながらコミュニケーションを行っているとする理論のこと。

 フェイス (face)とは、ブラウン (P.Brown)とレビンソン (S.Levinson)によって提唱されたポライトネス理論における、人と人の関わり合いに関する欲求のこと。そのうち共感・理解・好かれたいことを望む欲求をポジティブ・フェイスといい、邪魔されたくない、干渉されたくないという自由を望む欲求をネガティブ・フェイスという。

 したがって答えは2です。

 

問2 ポジティブ・フェイス

 1 「垣根表現」は断定表現や明言を避ける表現なので、相手との距離を取ろうとするネガティブ・フェイスを満たす行為にあたります。
 2 直接的な言い方は表現がきつくなりがちなので、相手と距離を取ろうとするときに用いやすいです。よってネガティブ・フェイスを満たす行為にあたります。
 3 仲間内の関係を良くしようとする、ポジティブ・フェイスを満たす行為です。
 4 習慣的に用いられる表現は形式的な場面で用いやすいので、相手に近づこうとする表現とは言えません。よってネガティブ・フェイスを満たす行為にあたります。

 したがって答えは3です。

 

問3 ネガティブ・フェイス

 1 相手を褒めているので、相手のポジティブ・フェイスに配慮した発話です。
 2 相手のノートの必要性、価値を認める表現は、相手のポジティブ・フェイスに配慮した発話です。
 3 代わりがいるような表現、突き放すような表現は、相手のネガティブ・フェイスに配慮した発話です。
 4 自分も相手にお返しをしようとするのは、相手のポジティブ・フェイスに配慮した発話です。

 したがって答えは3です。

 

問4 協調の原理

 ポライトネス理論 (Politeness Theories)とは、ブラウン (P.Brown)とレビンソン (S.Levinson)によって提唱された、会話において両者が心地よくなるよう、あるいは不要な緊張感がないように配慮するなど、人間関係を円滑にしていくための言語行動によって、人はお互いのフェイスを傷つけないように配慮を行いながらコミュニケーションを行っているとする理論のこと。
 したがって答えは4です。

 ちなみに…
 グライスが提唱した会話を円滑に進めるための原理を「協調の原理」と呼び、量の公理、質の公理、関係の公理、様式の公理(様態の公理)の4つ会話の公理からなります。

量の公理 会話するにあたって必要な情報を提供すること。少なすぎても多すぎても良くないとする。
「授業は何時ですか?」に対して「もうすぐです」は情報が少なく、「4時0分0秒です。」は余計な情報が付加されています。
質の公理 自分が真実ではないと知っていることや確信に達していないことについて言わないこと。嘘や皮肉などがこれにあたります。
関係の公理 話題にあがっていることと関係のあることを話すこと。
様式の公理
様態の公理
不明瞭で曖昧な表現を使わずに簡潔に言うこと。

 したがって答えは4です。

 

問5 注釈

 「こんな夜分遅く申し訳ありませんが」

 1 婉曲表現
 否定的な表現を避け、角が立たないように穏やかな言い回しにすること。「死ぬ」ではなく、「息を引き取る」と言ったりするのがこれにあたる。

 2 慣用句
 2語以上の単語が固く結びつき、全く異なる意味を持つようになったもののこと。例えば、「目がない」はその語が持つ意味を失い、「我を忘れるほど好きな様子」を表す。

 3 注釈表現
 自分が述べる発話に対して解説者風の抽象的な説明をした表現のこと。「ちょっと説明長くなるかもしれないけど」や「聞いてないかもしれないけど」などがこれにあたる。

 4 メタファー/隠喩(metaphor)
 物事のある側面から連想した類似性に基づく具体的なイメージを用いて、抽象的な物事を表す比喩の一種。「~みたいな」「~のような」は用いない。例えば、「頭が真っ白になる」の「真っ白」は何も書かれていない紙や何もない真っ新な状態を指しており、それが頭の中で何も考えられなくなった状態と類似していると考える。この二つの状態の類似性を利用することによって、思考が止まって呆然としてしまう抽象的な状態を表現している。

 したがって答えは3です。

 

問6 規範的な立場から見る敬語の使い方

 1 敬語の使い過ぎでうるさくなっています。
 2 適切です。
 3 鈴木先生本人が電話に出るかもしれないので、このような聞き方は間違いです。
 4 「鈴木先生のお宅」であるかどうかを聞くべきです。

 したがって答えは2です。







平成23年度, 日本語教育能力検定試験 解説