平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題4解説

問1 アチーブメントテスト

 1 到達度テスト/アチーブメント・テスト (Achievement Test)
 学習者が一定期間内で学習したことがどれだけ定着・習得できているかを測定するテストのこと。コースの途中や終了段階で行う。

 2 ニーズ調査/ニーズ分析 (needs analysis)
 コースデザインの段階の一つで、学習者の学習目的や学習環境などを調査・分析すること。

 3 適性テスト/アプティテュードテスト/言語学習適性テスト/外国語学習適性テスト
 受験者の外国語学習に対する適性を測るためのテスト。

 4 目標言語調査
 その学習者が将来遭遇するであろうと予測される場面において、母語話者は実際どのような日本語を使用しているのかを調査すること。ニーズ分析の一環で、それによってシラバスが決定される。

 したがって答えは1です。

 

問2 コンプリヘンション・アプローチ

 コンプリヘンション・アプローチ/聴解優先アプローチ (Comprehension Approach)とは、幼児の母語習得過程をモデルにし、とにかく聴解を中心とする教授法の総称。ビデオの教材や聴解練習だけに絞り、聴解能力が十分確立するまで発音練習や発話練習は行わない。そうすることで目標言語で発言することへの心理的圧迫を避ける。

 なお、選択肢1はサジェストペディアの説明です。
 サジェストペディア (Suggestopedia)とは、ロザノフ (Lozanov)が開発した外国語教授法。学習者の不安や緊張などを取り除くために、教室はリラックスできるような環境作りに徹し、絵画や観葉植物が置かれ、光などにも配慮する。クラシック音楽を流しながら、さながらコンサートのような教室活動を行うのが特徴的。授業は、イントロダクション(プレセッション)、コンサートセッション、ポストセッション(パッシブ・コンサート)の3部からなる。

 したがって答えは3です。

 

問3 モニターモデルの仮説

 モニターモデル (Monitor Model)とは、 クラッシェン (S.D.Krashen)によって提唱された第二言語習得理論のこと。習得・学習仮説、自然習得順序仮説、モニター仮説、インプット仮説、情意フィルター仮説の5つの仮説から構成される。

①習得・学習仮説 言語を身につける過程には、幼児が母語を無意識に身につけるような「習得」と、学校などで意識的に学んだ結果の「学習」があるとし、学習によって得られた知識は習得された知識には繋がらないとする仮説。このような学習と習得は別物であるという考え方を、ノン・インターフェイスポジションと呼ぶ。
②自然習得順序仮説
自然順序仮説
目標言語の文法規則はある一定の決まった順序で習得されるとする仮説。その自然な順序は教える順序とは関係ないとされている。
③モニター仮説 「学習」した知識は、発話をする際にチェック・修正するモニターとして働くとされる仮説。学習者が言語の規則に焦点を当てているときに起きるとされている。
④インプット仮説 言語習得は理解可能なインプット「i+1」を通して進むとする仮説。ここでいう「i」とは学習者の現時点での言語能力のことで、「+1」がその現在のレベルから少し高いレベルのことを指している。未習のものであっても、文脈から推測できたりする範囲のインプットを与えると、言語構造な自然に習得されるとする。
⑤情意フィルター仮説 学習者の言語に対する自信、不安、態度などの情意面での要因がフィルターを作り、接触するインプットの量と吸収するインプットの量を左右するという仮説。

 1 モニターモデルの仮説です。
 2 モニターモデルの仮説です。
 3 モニターモデルの仮説です。
 4 学習で得た知識は習得に移行するという考え方をインターフェイス仮説と呼びます。またそのような考え方をインターフェイス・ポジションと呼びます。モニターモデルの習得・学習仮説で述べられている内容と正反対です。

 したがって答えは4です。

 

問4 サイレント・ウェイ

 サイレント・ウェイ (Silent Way)とは、「真の習得はアウェアネス(気づき)なしには起こらない」という立場から、教師はできるだけ沈黙し、学習者自らが規則や体系を発見して学んでいくことを支援する教授法。ロッド、サウンド・カラー・チャート(色付きチャート)などの独自の道具を用いる。

 したがって答えは1です。

 

問5 形成的評価

 1 形成的評価
 コースの実施途中に行うもので、学習状況を見るためにコース開始後に随時実施される。小テストなど。

 2 横断的評価
 その人の能力を様々な基準を使って評価を行う方法のこと。

 3 総括的評価
 コース終了時に行うもので、学習者の最終的な学習成果を総合的に把握するために行う評価のこと。期末試験など。

 4 縦断的評価
 個々人の能力を自身の過去と比較し、時系列で評価する方法のこと。

 したがって答えは1です。

 







平成23年度, 日本語教育能力検定試験 解説