平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題8解説

問1 言語適性

 1 「生涯一定」や「見解が一致」などという言いきりの表現は怪しむべきです。
 2 その通りです。
 3 言語適性が高いと、当然習得の速度も速いです。この2つは関係しています。
 4 コミュニカティブな授業が好きな人は、それによって習得が促されたりします。

 したがって答えは2です。

 

問2 動機づけ

 行動のきっかけや原動力となるものを動機付けといい、自分の内側から湧いてくるものを内発的動機付け外部からの報酬などを得ることが目的となる外発的動機付けに分けられます。

 進学や就職に有利である等の動機で外国語を学習する場合、外国語を道具のように扱うことから道具的動機付けと呼ばれます。逆に、その文化に溶け込みたいなどという動機によるものは統合的動機付けと呼びます。道具的動機付けよりも、統合的動機付けのほうが学習意欲を長期間維持しやすいとされています。

 1 道具的動機付け(内発的動機付け)
 2 外発的動機付け
 3 統合的動機付け(内発的動機付け)
 4 外発的動機付け

 したがって答えは1です。

 

問3 習得開始年齢

 1 不可能と言い切ることはできませんが非常に難しいです。要するにできます。
 2 学習初期段階は大人の方が早いですが、それ以降は子供の方が早いです。
 3 最終到達度を決めるのにもインプットの量は関係あります。
 4 一定ではありません。

 したがって答えは2です。

 

問4 ビリーフ

 ビリーフ (belief)/学習ビリーフとは、信念。どのようにすれば言語を習得できるかという考え方のことを指す。教師のビリーフと学習者のビリーフがあり、両者のビリーフが一致することによって学習にはプラスに働く。

 パラメータとは、GB理論のパラメータのことでしょうか。
 統率・束縛理論(GB理論/Government and Binding Theory)とは、チョムスキーが唱えた文法理論で、言語は普遍的な有限の「原理」と、個別言語ごとに規定された値の変動する「パラメータ」から成ると仮定した理論のことです。原理とパラメータのアプローチとも呼ばれます。

 したがって答えは3です。

 

問5 情意フィルター仮説

 1 根本的相違仮説
 幼い子どもが言葉を覚えるメカニズムと、大人が第二言語を習得するメカニズムは根本的違うものであるとする仮説。大人が第二言語を習得する際には大きな個人差があるものの、子どもにはあまり差が見られない。

 2 インターアクション仮説
 ロング (Long)が提唱した第二言語習得に関する仮説。他者との言語を使ったやり取り(インターアクション)をお互いに行い意味交渉することで言語習得が促進されるとする。ここでいう意味交渉は、明確化要求、確認チェック、理解チェックの3種類に分けられる。

明確化要求 相手の発話が曖昧で理解できないときに、発言を明確にするよう要求すること。
確認チェック 相手の発話を自分が正しく理解しているかどうか確認すること。
理解チェック 自分の発話を相手が正しく理解しているかどうか確認すること。

 3 閾仮説/敷居仮説
 カミンズ (Cummins)によって提唱された、バイリンガルの程度と認知との関係性をまとめた仮説のこと。二言語を年齢相応の母語話者レベルで使用できる均衡バイリンガルの場合は認知上プラスの影響を与え、両言語とも十分なレベルにまで達していない限定的バイリンガルの場合は認知上マイナスの影響を与えるとされる。その中間に位置する、二言語のうち一方のみが年齢相応のレベルまで達している偏重バイリンガルの場合は、モノリンガルと同様、認知上プラスにもマイナスにもならないとされている。

 4 情意フィルター仮説
 学習者の言語に対する自信、不安、態度などの情意面での要因がフィルターを作り、接触するインプットの量と吸収するインプットの量を左右するという仮説。モニターモデル (Monitor Model)を構成する仮説の一つ。

 したがって答えは4です。

 





平成25年度, 日本語教育能力検定試験 解説