平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題4解説

問1 ナチュラル・アプローチ

 ナチュラル・アプローチとは、成人のための外国語教授法で、聴解を優先していることが特徴の教授法です。学習者が自然に話し出すまでは発話を強制せず、誤りがあっても不安を抱かせないために直接訂正しません。発話が行われるまでの間は聴解練習のみ行われます。

概念・機能シラバス 時、量、位置などの概念を学習の柱としたシラバス。シラバスに時間を組み込んだ場合は、「いつも」「ときどき」「まれに」「すぐに」などの表現を学びます。
構造シラバス 言語の構造や文型に焦点を当てて構成されたシラバス。オーディオリンガルアプローチやサイレントウェイで用いられます。
機能シラバス 言語の持つ機能に焦点を当てて構成されたシラバス。
依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなど…
場面シラバス 言語の使用場面に焦点を当てて構成されたシラバス。レストランで、スーパーでなど…
トピックシラバス
(話題シラバス)
実社会で話題になっている事柄やコミュニケーションの際に頻繁に触れられる話題を中心に構成されたシラバス。時事ネタなど…
スキルシラバス
(技能シラバス)
言語の四技能(読/書/話/聞)の中から、学習者に必要な技能に焦点を当てて構成されたシラバス。
タスクシラバス
(課題シラバス)
言語を使って何らかの目的を遂行することに焦点を当てて構成されたシラバス。買い物する、口座を開設する…

 構造シラバス(文型シラバス)はオーディオ・リンガル・メソッドやサイレントウェイで用いられます。
 技能シラバスは言語の四技能に焦点を当てたシラバスで、ナチュラル・アプローチの聴解練習とは相反します。
 課題シラバスでは何らかの課題を課すので、学習者によっては不安を抱きかねません。また、発話を強制することになるので、ナチュラル・アプローチでは用いません。

 したがって答えは1です。

 

問2 コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)

 オーラル・メソッドとは、パーマーによって開発された、口頭練習を中心とした教授法です。第一言語の習得過程を第二言語習得に適用し、まずは「聞く」「話す」の技能の習得を優先します。PPPという練習法が特徴的です。

Presentation(文型の導入)
Practicce(基本練習)
Production(応用練習)

  ナチュラル・メソッドとは、19世紀後半に始まった媒介語を使用しない、会話中心の教授法全般を指します。グアン・メソッド(サイコロジカル・メソッド)、ベルリッツ・メソッドなど。

 コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(Community Language Learning)
 心理学者カランがカウンセリング理論・手法を外国語学習に応用して開発した教授法です。カウンセリング手法は、学習者が誤りを犯すことへの心理的な不安を和らげるために用いられます。カウンセリング・ラーニングとも呼ばれます。また、不安軽減のため、媒介語の積極的な使用を認めています。

 グレイデッド・ダイレクト・メソッド(the Graded Direct Method)は、媒介語を使用しないダイレクトメソッド(直接教授法)の流れをくむ教授法の一つで、ハーバード大学のI.A.リチャーズにより考案されました。学習者の負担を軽減するため、簡単な言葉から段階的に教えていく教授法です。

 したがって答えは3です。

 

問3 オーディオ・リンガル・メソッドとコミュニカティブ・アプローチ

 オーディオ・リンガル・メソッド(Audio-Lingal Method)とは、目標言語の音声や文法構造をミムメム練習やパターンプラクティスを用いて学習し、それらを無意識に自動的に反射的に使えるようになることを目標とする教授法です。また、もともと兵士の語学訓練のために用いられたため、アーミー・メソッド(Army Method)などとも呼ばれます。

 コミュニカティブ・アプローチとは、コミュニケーション能力の育成を中心とし、情報の格差を埋めることがコミュニケーションの本質という考え方に基づいています。インフォメーションギャップ(情報格差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)などの要素がある、現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で行います。形式よりも意味を重視するフォーカス・オン・ミーニングに分類されます。

 1 正しいです。オーディオ・リンガル・メソッドは文法構造に焦点を当てた構造主義言語学の影響を受けています。コミュニカティブ・アプローチはコミュニケーション能力を重視した機能主義言語学の影響を受けています。

 2 オーディオ・リンガル・メソッドもコミュニカティブ・アプローチは話し言葉を重視しています。

 3 オーディオ・リンガル・メソッドは易しい文型から順に導入していきます。コミュニカティブ・アプローチはコミュニケーション能力の育成を中心とするので、そのたびに必要な文型を導入していくことから、その順序はあまり意識されません。

 4 オーディオ・リンガル・メソッドでは、誤りは母語の影響によって生じるととらえています。コミュニカティブ・アプローチでは、誤りは言語習得過程における一つの現象としてとらえています。

 したがって答えは2です。

 

問4 プロジェクトワーク

 プロジェクトワークとは、学習者が主体となって計画をし、資料や情報を集めたりして、グループごとに一つの作品にまとめる学習方法です。報告書、新聞、発表、映像などを作ります。現実性の高い活動なので、実践的な日本語を学べます。

 1 自己研修型ではありません。周囲と協力して行っていきます。
 2 正しいです。
 3 正しいです。活動の過程で様々な技能を必要とします。
 4 正しいです。

 したがって答えは1です。

 

問5 プロセス・ライティング

 プロセス・ライティングとは、計画、構想、下書き、推敲、教師による添削・フィードバックなどを何度も繰り返す作文指導のことです。これによってよりよい文章を生み出すことを目的としています。

 したがって答えは4です。

 





平成25年度, 日本語教育能力検定試験 解説