平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題5解説

 トップダウン処理 (top-down processing)とは、既に持っている背景知識や文脈、タイトル、挿絵、表情などから推測しながら理解を進めていく言語処理方法のこと。
 ボトムアップ処理 (bottom-up processing)とは、単語や音、文法などの言語知識を用いて、細かい部分から徐々に理解を進めていく言語処理方法のこと。

 

問1 前作業

 前作業とは、授業における、本作業を行う前の準備段階のこと。本作業で行うタスクに関連する話題を提示することで、学習者の背景知識を活性化させ、学習効率を高めたりする段階。

 1 できるだけ正確に覚えさせるのはボトムアップ処理の特徴です。
 2 文型の意味や形式に特に焦点を当てるのはボトムアップ処理の特徴です。
 3 聴解の授業ですので、聴解素材のスクリプトを読ませるのは間違いです。読ませるよしても後作業です。
 4 背景知識を活性化させるための活動です。

 したがって答えは4です。

 

問2 語の確認

 1 トップダウン処理では大まかに聞き取り内容を推測するのが必要なので、未習のキーワードを説明しておくのは重要なことです。
 2 細部を正確に聞き取れるようにするのはボトムアップ処理の特徴です。
 3 トップダウン処理では大意を理解することに重きを置くので、この授業では全ての語を聞き取れるようにする必要はありません。
 4 導入する語の類義語を調べさせる必要はなく、導入する語だけで十分です。また、類義語を調べさせたからといって関連する語を聞き取れるようになるかどうかは微妙です。

 したがって答えは1です。

 

問3 聴解素材

 1 その通りです。
 2 初級レベルでも自然な表現を用いるべきですが、あまりに長い文が入ったものは避けるべきです。
 3 その通りです。
 4 その通りです。

 したがって答えは2です。

 

問4 再話

 再話とは、読解や聴解後に、自分が理解したことを自分の言葉で話すこと。語彙や文法を使わせ定着させることが目的となる。

 1 自分の理解した内容を話すのが再話です。内容を理解しているかを確認するためではありません。
 2 自分の理解した内容を話すのが再話です。内容との違いを確認するためではありません。
 3 聞き取った内容から自分の理解したことを話すことで、語彙や文法を使わせ定着させられます。
 4 自分の理解した内容を話すのが再話です。聞き取れなかった内容を推測させるためではありません。

 したがって答えは3です。

 

問5 非営利の教育機関が授業で著作権者の承諾なしに利用できる聴解素材・教材

教員及び児童・生徒が、授業の教材として使うために他人の作品をコピーし配布する場合(第35条第1項)
 
著作権者の了解なしに利用できるための条件
①営利を目的としない教育機関であること
②授業を担当する教員やその授業等を受ける児童・生徒がコピーすること
③本人(教員又は児童・生徒)の授業で使用すること
④コピーは、授業で必要な限度内の部数であること
⑤既に公表された著作物であること
⑥その著作物の種類や用途などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないこと
⑦原則として著作物の題名、著作者名などの「出所の明示」をすること
 - 学校における教育活動と著作権より

 1 ③に反します。授業で使用しなければいけません。
 2 ③に反します。授業で使用しなければいけません。
 3 ④に反します。授業で必要な部分だけのコピーしか認められません。
 4 問題ありません。

 したがって答えは4です。

 参考:学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第 35 条ガイドライン





平成30年度, 日本語教育能力検定試験 解説