平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3A解説

2019年7月17日

 平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3A
 A【動詞の活用と音韻規則】

(1)同音異義で活用が異なるもの

 「辞書形では同音異義でも、活用の種類が異なれば過去形などの形が異なる」ものとは、例えば「する」が挙げられます。五段動詞の「刷る(する)」の過去形は「刷らない」ですが、サ変動詞の「する」は「しない」です。同音異義でもグループが異なるので活用形が異なります。

五段動詞「切る」「切らない」 一段動詞「着る」「着ない」
一段動詞「植える」「植えない」 一段動詞「餓える」「餓えない」
一段動詞「避ける」「避けない」 一段動詞「裂ける」「裂けない」
五段動詞「要る」「要らない」 五段動詞「炒る」「炒らない」

 1はお互いにグループが異なる同音異義です。
 したがって答えは1です。

 

(2)異形態

 異音とは、同じ音素に属する異なる音のことです。日本語では、[s][θ]が音素/s/として、[ɾ][r][l]が音素/r/として認識されます。

 特殊拍とは、促音「っ」、長音「ー」、撥音「ん」のことです。

 異形態とは、同じ意味や機能を持ちながら、環境や条件によって異なる形を取る形態素のことです。雨雲は「あめ」と「くも」に分けられますが、実際に発音するときは「あぐも」になります。この/ame/と/ama/が異形態です。

 開音節とは、母音が最後にくる音節のことです。
 閉音節とは、子音が最後にくる音節のことです。

 したがって答えは3です。

 

(3)

 文章中に「一段活用および不規則活用をする動詞では常に/-ta/が現れる」というヒントがあります。
 一段動詞「食べる」の語幹は「tabe」で、末尾音は「e」です。
 不規則活用のサ変「する」の語幹末尾音は「s」です。
 カ変「来る」の語感末尾音は「k」です。

 「e」は母音、「s」「k」は無声子音です。
 したがって答えは2です。

 

(4)促音便

 (3)の答えより、語幹の末尾音が有声子音の場合は/-da/が現れるが、例外的に/-ta/が現れるものもあるようです。

 日本語における子音[k][s][t][n][h][m][y][r][w][g][z][d][b][p]のうち、有声子音は[n][m][y][r][w][g][z][d][b][p]です。これらが語幹末尾音となる動詞を探します。

語幹末尾音 辞書形 語幹
n 死ぬ sin
m 揉む mom
y
r 飾る kazar
w
g 嗅ぐ kag
z
d
b 飛ぶ tob
p

 動詞辞書形はウ行で終わりますが、「~ず」「~づ」「~ぷ」で終わる動詞はないので[z][d][p]が語幹末尾になる動詞はありません。また、[y][w]のウ行は「~う」で、これは子音ではありません。以上の理由からこれらは除外されます。

 次に各動詞の過去形を見ていきます。

語幹末尾音 辞書形 語幹 過去形
n 死ぬ sin 死んだ
m 揉む mom 揉んだ
r 飾る kazar 飾った
g 嗅ぐ kag 嗅いだ
b 飛ぶ tob 飛んだ

 語幹末尾音が[r]のときに/-ta/が現れています。それ以外は/-da/です。これで[r]が例外であることが分かりました。「飾る」だけではなく、「分かる」「治る」などの「る」で終わる五段動詞がこれにあたります。

 過去形は「飾りだ」ではなく「飾った」となっています。このように、イ段の音が促音に変化する音便を促音便と言います。
 したがって答えは1です。