平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題4解説

問1 コミュニカティブ・アプローチ

 1 CLL (Community Language Learning)
 カラン (Curran)が提唱した、カウンセリング理論を外国語学習に応用して開発した教授法。カウンセリング理論は学習者が誤りを犯すことへの心理的な不安を和らげるために用いられる。また、不安軽減のため、媒介語の積極的な使用を認めている。カウンセリング・ラーニングとも呼ぶ。

 2 コンプリヘンション・アプローチ/聴解優先アプローチ (Comprehension Approach)
 幼児の母語習得過程をモデルにし、とにかく聴解を中心とする教授法の総称。ビデオの教材や聴解練習だけに絞り、聴解能力が十分確立するまで発音練習や発話練習は行わない。そうすることで目標言語で発言することへの心理的圧迫を避ける。

 3 オーラル・アプローチ (Oral Approach)/オーディオ・リンガル・メソッド (Audio-Lingal Method)
 戦後1940年代から1960年代にかけて爆発的に流行した教授法。目標言語の音声を特に重視し、教師が中心となってミムメム練習やパターンプラクティス、ミニマルペア練習などを用いて学習し、それらを無意識に自動的に反射的に使えるようになることを目標とする。フォーカスオンフォームズ(言語形式を重視)の教授法。行動主義心理学を理論的背景とする。オーラル・アプローチ (Oral Approach)とも呼ばれる。

 4 コミュニカティブ・アプローチ (Communicative Approaches)
 それまでのダイレクトメソッドやオーディオリンガル・メソッドなどの非現実的な教授法を否定し、言語教育は現実的な場面を想定した会話の中で行われるべきという考え方から生まれた教授法。オーディオリンガル・メソッドとは異なり、母語話者並みの発音やスピードを求めず、正確さよりもコミュニケーション能力の育成を中心とする。概念・機能シラバスを用いた現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で行い、その活動を通して文法や単語を身につけていくことを目標とする。また、インフォメーションギャップ(情報格差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)の3つの要素がコミュニケーションの本質であるという考え方に基づき、これらの要素を盛り込んだ活動を行うのが特徴的。フォーカス・オン・ミーニング(言語の意味重視)の教授法。

 
 したがって答えは4です。

 

問2 ファシリテーターの役割

 ディスカッションにおけるファシリテーター(促進者)の役割に関する問題です。ファシリテーターは学習そのものに参加せず、あくまで中立的な立場から活動の支援を行うように立ちまわります。

 1 説明せずに、どのように理解するかは学習者に任せるべきです。
 2 事前に立場は割り振らず、学習者自身の意見に従います。
 3 展開や対応は全て学習者に任せるべきです
 4 中立的な立場からの支援としては適切です。

 したがって答えは4です。

 

問3 伝達能力(コミュニカティブ・コンピテンス)

 コミュニケーション能力に関して、ハイムズは、コミュニケーションには正しい言語形式を使用するだけではなく、場面や状況に応じた使い方をすることが必要だと提唱しました。これを伝達能力(コミュニカティブ・コンピテンス)と言います。
 また、カナルは、伝達能力は文法能力、社会言語能力、方略能力、談話能力から成り立っていると主張しました。

談話能力 言語を理解し、構成する能力。会話の始め方、その順序、終わり方などのこと。
方略能力
(ストラテジー能力)
コミュニケーションを円滑に行うための能力。相手の言ったことが分からなかったとき、自分の言ったことがうまく伝わらなかったときの対応の仕方のことで、ジェスチャー、言い換えなどがあてはまる。
社会言語能力
(社会言語学的能力)
場面や状況に応じて適切な表現を使用できる能力。
文法能力 語、文法、音声、表記などを正確に使用できる能力。

 1 文法能力
 語、文法、音声、表記などを正確に使用できる能力。

 2 社会言語能力(社会言語学的能力)
 場面や状況に応じて適切な表現を使用できる能力。

 3 方略能力(ストラテジー能力)
 コミュニケーションを円滑に行うための能力。相手の言ったことが分からなかったとき、自分の言ったことがうまく伝わらなかったときの対応の仕方のことで、ジェスチャー、言い換えなどがあてはまります。

 4 談話能力
 言語を理解し、構成する能力。会話の始め方、その順序、終わり方などのこと。

 
 したがって答えは2です。

 

問4 ディベートに適したテーマ

 文章中に、ディベートは「肯定派と否定派の二つのグループに分かれ」とあります。
 答えが複数ある中から参加者で話し合いを行うディスカッションとは違い、ディベートは肯定派と否定派の対立構造があります。

 1 ディスカッションのテーマ
 2 ディスカッションのテーマ
 3 ディスカッションのテーマ
 4 ディベートのテーマ(引き上げ賛成派と反対派)

 したがって答えは4です。

 

問5 ディベートの特徴

 1 ディベート前の事前準備で、言いたいことを言うための表現を自ら学べる。
 2 ディベートではあらかじめ立場を決めます。学習者自身の意見は尊重されません。
 3 相手の意見に対する反論などから、論理的な思考力が養えます。
 4 意見を述べたり反対質問したりする時間が決まっていて、意見は述べやすいです。

 したがって答えは2です。





平成26年度, 日本語教育能力検定試験 解説