平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

問1 具体的な情報の授受を必要としないやり取り

 選択肢1
 どこに行くかを言いたくないときに「ちょっとそこまで」と言ったりします。言う方は具体的な情報を隠し、言われた方は察して追求しないことが多いでしょう。

 選択肢2
 直接「ここを掃除して」と言っているので、具体的な情報のやり取りです。

 選択肢3
 「いつもの」は第三者にとっては抽象的ですが、当人は「いつもの」が何であるか分かっています。これは具体的な情報を授受していると言えます。

 選択肢4
 具体的な情報のやり取りです。

 したがって答えは1です。

 

問2 他者との関係性を構築したり維持したりする機能

 ヤコブソンは、言葉には6つの機能があると述べました。

情動的機能 感嘆詞や間投詞などの相手に気持ちを伝えようとする機能。
詞的機能 言語の具体的な内容よりも、言語そのものを使って遊べる機能。俳句、リズム、音の響きなど。
能動的機能 話し手の発話によって相手を動かす機能。命令、依頼、禁止、要請など。
交話的機能 他者との関係性を構築したり維持したりする機能。挨拶、相槌、会話など。
指示的機能 出来事や事象をそのまま描写する機能。「向こうに山が見える」など。
メタ言語的機能 ある言葉が、他の言葉によって説明でき、言い換えられる機能。

 ハイムズはヤコブソンの6つの機能に1つ加えて、7つの機能があると述べました。その一つが状況的機能です。

状況的機能 「では」「これから」など、コミュニケーションの状況を変える機能。

 したがって答えは2です。

 

問3 多義的で複数の発話行為に使用されるもの

 選択肢1
 初めて会う人に対する挨拶に使われます。 

 選択肢2
 お店でお客さんを迎え入れるために使われます。

 選択肢3

意味 例文
とても、大変 どうもありがとう
どうやっても、なぜか どうもよく分からない/どうも最近疲れやすい
ありがとう どうも/その節はどうも
あまり 勉強はできるけど性格はどうも

 他にも用法があるかもしれませんが、ぱっと思い付くだけでこれだけあります。「どうも」は多義的で、複数の場面で使用される言葉です。

 選択肢4
 久しぶりに会った人に対して使います。

 したがって答えは3です。

 

問4 同居の家族には使わない挨拶表現

 「こんにちは」だけは家族に使わない表現です。
 したがって答えは1です。

 

問5 使用場面や用法に変化が見られる挨拶表現

 「お疲れ様です」は社内メールの冒頭で使われる以外にも、退勤する際の挨拶、街で先輩に会った時の挨拶にも使われます。
 一方その他の選択肢は使える場面が限定的です。
 
 したがって答えは4です。