平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

問1 使用語彙

 理解語彙とは読んだり聞いたりした際に理解できる語彙の集合のことで、使用語彙とは自分が話したり書いたりした際に使える語彙の集合のことです。「読めるけど書けない」「意味は分かるけど使わない」といった類の語彙は理解語彙に属しているので、一般的には誰でも使用語彙よりも理解語彙の方が多いです。

 選択肢2は理解語彙、選択肢3は使用語彙です。
 したがって答えは3です。

 

問2 初級学習者にとって覚えやすい語の特徴

 選択肢1
 「屋」が共通しているので、そば屋、宿屋などと他にも応用しやすく覚えやすくなります。

 選択肢2
 中国語で電話をかけるは「打电话」、鍵をかけるは「锁门」です。日本語では同じ「かける」ですが、中国語では動詞が「打」と「锁」に分けられます。このようなケースは初級学習者にとって覚えにくいものとなります。

 選択肢3
 「去年」や「来年」は日常生活で頻繁に使用する語ですので覚えやすいです。

 選択肢4
 例えば「承る」のようにモーラが多すぎると当然覚えにくくなります。

 したがって答えは2です。

 

問3 ダイクシス(直示)

 ダイクシス(直示)とは、発話現場にいなければ意味が成立しない性質のことを言います。直示とも呼ばれます。例えば「これは美味しい」と言う時、その場にいる人は「それ」が何を指しているか理解できるものの、その場にいなければ「それ」が何なのかを特定することはできません。このような性質のことです。

 したがって答えは1です。

 

問4 語の意味の指導

 1 和語は漢語より易しいため、漢語の説明には和語をできるだけ用いる。
 和語は漢語より易しいと断定しているのが気になります。少なくとも中華圏の学習者にとっては、漢語のほうが比較的簡単に習得できます。英語圏の学習者にとっては和語も漢語もほぼ同じ難易度ではないでしょうか。

 2 学習者の母語と日本語では、意味の範囲が違う場合があるため注意が必要である。
 例えば日本語の「読書」は文字通り本を読むという意味ですが、中国語の「读书」は勉強をするという意味を表します。また、中国語の「勉强」は無理やり~するという意味です。
 このように、同じ単語でも意味が異なるケースがありますので注意が必要です。

 3 英語圏の学習者にとって、外来語は易しいため媒介語は使わない。
 私は英語圏の学生を受け持ったことがないので分かりませんが、中華圏の学生が漢語を習得しやすいように、英語圏の学生も外来語は習得しやすいはずです。しかしながら外来語と言えど和製英語もあるので、元々の意味とは違う語もあります(例えばバージンロードは和製英語)。そのような場合は媒介語を使って説明してあげることが必要になります。

 4 漢字圏の学習者にとって、漢語は意味が同じであるため指導の必要はない。
 選択肢2で説明した通りです。同じ単語でも意味が違うものもありますので、指導する必要はあります。

 したがって答えは2です。

 

問5 スリーヒントゲームを行う意図

 私も授業でこのようなゲームをしたことがあります。
 手順②を行わせる意図は、その単語を説明するために文を作らせること、その単語の意味を思い出させることです。
 また、既習語しか出題しないというルールですので、このゲームの中で新しく単語を覚えてもらうようなことはしないほうがいいです。

 したがって答えは2です。