平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題4解説

問1 パターン・プラクティス

 1 フォーカス・オン・フォーム (FonF:Focus on Form)
 FonFsの流暢さが身につけられない欠点と、FonMの文法的な正確さが身につけられない欠点を互いに補うために考案された教授法のこと。コミュニケーションの中で文法的な知識を学習していこうという考え方に基づき、教室においてはFonMと同様に学習者が中心となるが、必要があれば教師は介入する。何らかのトピックやテーマを用いることで、文法そのものに焦点を置かずに意味中心とするが、教師によるプロンプトやリキャストでフィードバックを行うことにより、その中で学習者の注意が文法形式に向くような工夫がある。FonFsのように文法説明を始めたり、機械的なドリル練習をすることはなく、最終的には学習者の気付きによって文法知識の習得を促す。

 2 コミュニカティブ・アプローチ (Communicative Approaches)
 それまでのダイレクトメソッドやオーディオリンガル・メソッドなどの非現実的な教授法を否定し、言語教育は現実的な場面を想定した会話の中で行われるべきという考え方から生まれた教授法。オーディオリンガル・メソッドとは異なり、母語話者並みの発音やスピードを求めず、正確さよりもコミュニケーション能力の育成を中心とする。現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で行い、その活動を通して文法や単語を身につけていくことを目標とする。また、インフォメーションギャップ(情報格差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)の3つの要素がコミュニケーションの本質であるという考え方に基づき、これらの要素を盛り込んだ活動を行うのが特徴的。フォーカス・オン・ミーニング(言語の意味重視)の教授法。

 3 オーディオ・リンガル・メソッド (Audio-Lingal Method)
 戦後1940年代から1960年代にかけて爆発的に流行した教授法。目標言語の音声を特に重視し、教師が中心となってミムメム練習やパターンプラクティス、ミニマルペア練習などを用いて学習し、それらを無意識に自動的に反射的に使えるようになることを目標とする。フォーカスオンフォームズ(言語形式を重視)の教授法。行動主義心理学を理論的背景とする。オーラル・アプローチ (Oral Approach)とも呼ばれる。

 4 全身反応教授法/TPR (Tota Physical Response)
 アッシャー (Acher)により提唱された教授法で、母語習得過程を応用して発話よりもまず聴解力を養成し、教師の指示に対して体を動かしながら言葉を口にする活動を行う。言葉と動作を同時に取り入れることで記憶に残りやすくなると考える。子供の英会話教室などで用いられることが多い。1960年代~1980年代に広まった。

 
 パターン・プラクティスといえば、オーディオ・リンガル・メソッドです。
 したがって答えは3です。

 

問2 モデル会話

 モデル会話とは、教科書に書かれている対話形式の文章のこと。その課で導入した単語や文法などを使って対話が行われたりする。

 1 モデル会話の展開が自然なほうが良いです。
 2 モデル会話として表現形式は分かりやすいほうがいいです。
 3 ユニークではなく、より一般的な場面でモデル会話を設定すべきです
 4 正しいです。

 したがって答えは4です。

 

問3 シラバス

構造シラバス 言語の構造や文型に焦点を当てて構成されたシラバス。オーディオリンガルアプローチやサイレントウェイで用いられる。
機能シラバス 依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能に焦点を当てて構成されたシラバス。
場面シラバス 「レストランで注文する」や「スーパーで買い物をする」などの使用場面に焦点を当てて構成されたシラバス。
トピックシラバス
話題シラバス
ニーズ分析などを踏まえ、学習者の興味がある内容や実社会で話題になっている話題を中心に構成されたシラバス。
スキルシラバス
技能シラバス
言語の四技能(読/書/話/聞)の中から、学習者に必要な技能に焦点を当てて構成されたシラバス。
タスクシラバス
課題シラバス
言語を使って何らかの目的を遂行することに焦点を当てて構成されたシラバス。ロールプレイなどがこれにあたる。
概念・機能シラバス 機能シラバスと実際のコミュニケーションの場面を組み合わせて構成されたシラバス。依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能を用い、実際にコミュニケーションが行われる場面で目標を達成するような活動を進めていく。

 したがって答えは3です。

 

問4 フィラー

 フィラー (filler)とは、「あのう」「そのう」「えっと」などの言い淀み、言葉を探しているときに発せられる言葉のこと。

 1 相槌
 2 フィラー
 3 感動詞/感嘆詞
 4 相槌

 したがって答えは2です。

 

問5 OPI (Oral Proficiency Interview)

 OPI (Oral Proficiency Interview)とは、ACTFLが開発した外国語の口頭表現能力を測定するための試験。タスクと機能、場面/話題、正確さ、テキストの型の4つの基準からレベルを判定する。受験者のレベルの下限と上限を見極めるために、難易度を調整しながら行われるのが特徴。30分間の試験では、インタビューやロールプレイなどを行う。「超級、上級、中級、初級」という4つの主要レベルがある。

 選択肢4に「インタビュー」という単語があるのに注意です。確かにOPIではインタビュー形式の試験ですが、難易度を調整しながら受験者のレベルを測定するのが特徴的です。

 したがって答えは2です。





平成29年度, 日本語教育能力検定試験 解説