グループ分けの悲劇

 私が初めてこの学校に来た時に受け持った授業は、1学年ごとに週1コマの会話の授業しかありませんでした。1学年はおよそ30人くらいいるので、週1コマでは全員の発話を十分に引き出すことができません。ですからある時主任の方に提案して、1学年を2つのグループに分けてもらいました。これによって2年前から週2コマになり、それぞれ同じ内容を半分の人数で行うことになりました。

 学生にとっては人数が少ないので会話する機会が増えますし、もし何か用事で授業に来られない時にはもう片方のコマに参加するなんていうこともできます。教師にとっても1週間で同じ授業を2回するので、2回目は1回目の反省を踏まえてもっと工夫することができます。双方いいことずくめの方法ですね。

 しかし意外なところで悪い効果もありました。

 今の3年生は学籍番号の昇順で上半分と下半分に分かれてそれぞれ授業をしましたが、2年生は各寮がちょうど4つあることに着目して寮毎に分割しました。結論から言うと、寮ごとに分割するのはあまりよくない判断だったと感じています。

 学籍番号は苗字の画数が少ない順で並びますので、分割されたグループに同じ寮の人が必ずいるとは限りません。最初の頃は自分の寮以外の人とあまり親しくありませんので、授業自体はわりと静かめになります。しかしそれも数週間で改善し、徐々に寮以外のクラスメートと仲が良くなっていくのが見て分かりました。

 一方寮毎に分割すると、より親しい人が多くいるので最初からわいわい楽しそうに授業してくれます。これは一見良いように見えますが、授業をしていても常に同じ寮でまとまって座り、別の寮とはほとんどコミュニケーションを取ろうとしません。片方の寮の人の話をしている時、もう片方の寮はほぼ無関心ですから、教室の盛り上がりが二分されてしまうことが多々あります。1年生の最初の頃に十分友人関係を築いておかなければ、2年生になってもそれが中々進展しないのでしょう。

 以上のグループ分けの方法によって、3年生と2年生では本当に違う空気感が生まれてしまいました。3年生は寮の垣根を越えて誰とでも親しく、誰とグループを組んでも常に同じパフォーマンスをしてくれます。ところが2年生は同じ寮以外の人とは親しくありませんので、授業の運営自体が難しくなりつつあります。

 3年生は問題ないとして、とりあえず2年生をどうにかしなければいけません。
 先週から授業をしていますが、試験的にペアワークを取り入れてみています。ペアを組んでペアで発表させる形式ですが、そのペアも同じ寮の人とは組まないようルールを決めました。これで幅広く仲を深めていこうという考えなんですが… まあどうなるかはまず今学期やってみてという感じですね。

 まさかグループ分け一つでここまで変わると思いませんでした。少なくとも2週間後始まる新しい1年生は、ちゃんと学籍番号で分割することにします。