日本語教師のお仕事

 最近こういった質問が非常に多くなりました。それも1年生からです! 大学に入学して突然日本語を勉強することになったわけですが、果たして心から日本語を勉強したいと思ってくれているのかなあと心配になっている面がありました。ところが嬉しい事に日本に興味を持ってくれているようで、本当に今後が楽しみです。

 さて、昔の日本人はどうして切腹したんでしょうか。昔の日本人というより、武士や侍が主にしたのだと思いますが…… この答えは日本人の生死感や思想と密接に関わっている気がします。日本語なら上手く回答できたのですが、相手が1年生なので中国語を使う他なく、結局満足のいく回答ができなかったのが悔やまれます。その他、「現在の日本人は天皇を尊敬していますか?」という質問もありました。これを中国語で回答するには難し過ぎる…。依然として語学能力の壁にぶち当たっています。

 もう一つ、「日本に繁体字はありますか?」という問いに対して私はこう答えました。「中国では簡体字、台湾では繁体字、日本では簡体字も繁体字もあって、どちらでもない漢字を新体字と呼んだりする」

 繁体字 → 台湾
 簡体字 → 中国
 新体字 → 日本

 ところが学生から大きな指摘が。「台湾は中国に含まれるから、その説明は変だ」と言ったのです。

 繁体字 → 台湾
 簡体字 → 大陸(※)
 新体字 → 日本

 「中国」ではなく「大陸」と述べるのが正しいという意味ですね。これは中国と台湾、日本の歴史的・政治的な話題に直結しますから、こういう時は私が積極的に手を引くようにします。この話題はちょーっと危ない領域ですから常に気を付けてます。

 彼らから来る質問は日本人が普通考えないようなことばかりです。私にとっても日本を客観的に見る良い機会になっています。

日本語教師のお仕事

 授業が終わる度に学生が寄って来て、毎回私に”宿題”を与えます。これが分からない、これはどういう意味? この文法の区別は? などなど、日本語に関するあらゆる質問が飛んできます。その場で回答できるものは良いとして、そうではない類の質問は必ず家へ持ち帰って私の宿題となります。

 一番嬉しいのは、「分かった!」と言ってもらえる事以外にありません。区別を明確にした上で、分かり易い言葉を用いて説明しつつ、理解を促す。この一言は全てのプロセスが完璧だったからです。今日は「さすが先生」とまで言われて、この上なく嬉しかったですね。

 この学校には日本人は私しかいませんから、私が分からなければ誰も分からないし、学生も解決しないままモヤモヤすることになります。それだけは回避しなければならないので、常に私自身を最後の砦だと思ってます。

日本語教師のお仕事

 作文の授業ではほぼ毎回作文を書かせるようにしています。学生のモチベーションを保つためにも、テーマは考えて面白いものを選んでいるつもりです。

 今週は「1億元あれば何をしたい?」という質問にしました。日本では、大体宝くじ1等の3億円だったり、あるいは100万円だったりするので、その感覚に相当する額です。始めは「1000万元(2億円)あったら何したい?」だったのですが、学生から「少ない!」という声が多く、結局1億元になりました。2億円で少ないと思うなんて驚きです。確かに、中国では日本よりも”給料の高さ=権力誇示”のようなところがありますから、少ないと思うのは国民性なのかもしれません。

 結果として人気だったのは「別荘を買う」でした。学校も仕事も辞めて海外や南国へ移住したい意見が多数です。言わずもがな「親孝行」はほぼ皆言及していましたが、そのほか、「寄付」と答える人も1/3ほどいたのです。自分のためではなく、教育が十分に受けられない人のため、環境保護のため、貧困層のため。まさかとは思いましたが、そう思えるのは中国の格差問題が背景にあるのかもしれません。