日本語教師のお仕事

 まず私たちの学校を代表して参加してくれた学生に感謝します。
 コンテストが終わった後に泣かれてしまって、あんな様子を見ると私も泣いてしまいますって。

 午後のスピーチ、彼女が壇上で一人頑張っている様子を見て私は、人生であれほど強く「頑張って」と祈ったことはありません。
 手を握り締めれば締めるほど、顔を覆えば覆うほど涙が出てくるってのは初めての経験でした。
 先に泣いていたのは、実は私の方です。

 スピーチ前日にメッセージ送りました。
 「結果は重要じゃないよ。今の自分の力を出し切って君が満足すればそれで十分だから。

 去年スピーチコンテストに参加した先輩からも同じ内容のアドバイスをされたことがあったそうです。
 私は毎年このように言いますから、それが学年を越えて受け継いでいるんだと実感しました。

 スピーチコンテストは終わったばかりですから、今すぐ彼女に対して何か反省点・改善点を示すことはしません。
 この話をするにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、気長に待ってみます。

 スピーチが終わった後主任とも話をしました。それは非常に濃厚なやり取りでした。

  1.スピーチコンテストに力を入れること
  2.授業でスピーチを積極的に取り入れること

 これはお互いの共通認識です。
 そしてその場で私が提案したのはこの2点。

  3.3年生の会話の授業を週2回にすること。
  4.3年生後期にも会話の授業を増やすこと。

 主任から「先生忙しくなりますが大丈夫ですか?」と心配されたんですが、忙しくなるのは問題ではないと思います。
 立ち話ではありましたが、このように決まりました。
 今学期末にまたちゃんと主任の方と調整したいです。

 
 あとはスピーチ力強化に関する具体的な方策を考えるのは私の役目です。
 これはスピーチが終わって家に着くまでずーっと考えていました。私にできることは何か。

 これは一つの案です。学生を格付けするのは気が引けますが単刀直入に言います。

 今までは毎晩予約制で会話を行っていました。
 これは全体的な日本語会話力の底上げと学生との関係性構築によって授業が盛り上がりやすくなる効果があり、今後も続けていきたいと思っています。
 この会話で達成されるのは底上げです。底上げ以外の成果はこの3年で特に見当たりません。

 じゃあ上層にいる学生にとってはどうでしょうか。
 より高みを目指すために底上げばかりしていても無駄です。
 特にこのようなスピーチコンテストでは、当然ながら能力の高い上層の学生が参加することになります。
 その人たちのために、この毎晩の会話以外で特別にしてあげるべきこともあるのではないか。

 具体的には、①毎日、あるいは週4~5回会話をする。
 私はその人が望むなら必ず時間を割きます。ただしこれをするには贔屓と言われることを覚悟しなければなりません。

 この会話は普通の雑談ではありません。
 N2、N1レベルの文法、単語を使わせることで体型的な知識を習得させ、些細な間違いもことごとく訂正していくつもりです。
 このくらいやらないと上層の学生の要望に応えることができないはず。

 もう一つは、②夏休み、冬休み中も会話は継続すること
 この休み、1年で4か月間もあります。その間顔を合わせることもなく、会話することもなく。今まで私も休みだ!と思って何にも仕事してませんでした。学生も多くは日本語から離れる日々でしょう。
 でもこの時間こそ彼らに利用してもらう時間じゃないかと思うようになりました。
 手段はもっぱら微信などの通話となりますが、wifiさえあれば大した問題ではありません。

 
 このようにすれば、上層の学生の効率的な成長を実現できるのではないかと考えています。
 これが実れば、来年のスピーチコンテストにも必ず成果が表れてくるはずです。

 念頭に置かなければならないことは、底上げという概念を捨てること。
 今はもう贔屓と言われても構いません。
 明日ほんの一握りの学生だけにこのような計画があることを伝えます。強制はせず「やりたい」と言ってくれた学生を全力で育てます。

 
 スピーチは終わりましたが、私の新しい試みは始まりました。
 昨日の彼女の涙からまた色んな事を考えさせられました。そして私がこの学校で唯一の日本人であることに責任を感じています。
 この学校でやるべきことをまた一つ見つけることができて幸せです。

 全ては学生のために、そして来年のスピーチコンテストのために、また新しい作戦を実行するときが来ました。

日本語教師のお仕事

 天津の話③です。
 昼ご飯食べたら午後のスピーチへ。

 スピーチは1日かけて行われ、全2部あります。
 午前は命題スピーチで、あらかじめ与えられたテーマについてのスピーチをします。

  1.日中平和友好条約締結30周年記念、今後の展望
  2.AIが私たちの生活にもたらすもの

 確かこのようなテーマです。この2つから1つを選びます。
 最長1ヶ月くらいの準備期間がありますからみんな上手で、実際午前のスピーチではほとんど選手間の優劣はつきにくいです。

 問題は午後の即興スピーチ。
 テーマを知らされてから10分間(?)の考慮時間が与えられます。
 今年のテーマは「貿易摩擦と私たちの生活」でした。

 午前のスピーチに関していえば文句なしの出来でした。
 というか、全30名の参加者が全て非常に素晴らしいスピーチをしていたと思います。
 ですからここで述べるのは午後のスピーチに関することに留めます。

 結果から言いますと、私たちの廊坊師範学院は全30名中24位でした。
 順位だけ見ると分かりませんが、実は9位~25位までの15名程度の総合得点は84点~83点のわずか1点の間に集中しています。かなり拮抗していました。

 つまりあと1点でも稼ぐことができたらこの層から抜け出すことができて、一気に10数人抜きできたということです。結果論ではありますが…。

 あとこれは全ての選手に言えることでしたが、貿易摩擦(经济摩擦)について正しい知識がなく、半数は全く理解していませんでした。
 ですからほとんどの選手が逃げ腰のスピーチになって、漠然で抽象的な内容となっていました。この点は聞いていて辛かったです。

 日本語専攻の学生はよく「実質専門はない」と言われます。

 例えば卒業後日本に留学することになったら何かしらの専門を選択しなければなりません。
 しかし今まで4年間日本語しか勉強してきていませんので、それ以外のことは全く分からない。0からのスタートです。これが専門ではないと言われる所以です。
 留学しなくても卒業後日本語しかできなければ就職の機会も少ないですから、依然として状況は厳しいと言えます。

 スピーチコンテストの最後の総括でもありましたが、語学というのは文系です。文系とは幅広い知識を持っていなければなりません。深くある必要はないですが、広く浅く知っていてこそです。そこが参加者全員に不足していました。

 1位になった選手はかなり抜きんでていました。よくもまああれだけ長い文章を区切ることなくペラペラ言えるものだと感心させられます。というかあのようなスピーチは日本人にもできるかと言われれば簡単ではないでしょう。

 1位の女の子、あの笑顔の裏に血の滲むような努力が垣間見えました。
 しかし2位以降は私には微差のように感じています。

 大言壮語になるかもしれませんが、私の学生にもできないはずがありません。そこまで行くためには、やっぱり私と学生の継続的なやる気と根気が必要です。それを1か月前から間に合わせようと考えているのがもう既に間違いだったんです。

 このスピーチコンテストで、学生も私も色んな事を学びました。
 私は去年の今よりも大きく進歩してます。来年はきっとかならず。

日本語教師のお仕事, 中国での生活

 今日は天津に行ってきました。天津と言ってもただの隣町ですけどね。理由は第十三届中华全国日语演讲比赛华北赛区、つまるところ日本語スピーチコンテストです。

 いろんなことが詰まった1日だったので、数回に分けて2018年6月2日(土)の1日をまとめていきます。

 まず朝出発。廊坊駅から天津南へ高鉄で向かいます。
 天津南からタクシーに乗ったんですが、今まで気づいてたけど写真撮って来なかったものがありました。

 中国のタクシーの運転手さんって、サイドミラーは見るけどバックミラー全然見ないんです。
 見ないというよりは角度がもう意味分かんないところに向いてて、そもそも備え付けている意味がない状態です。

 上の写真見て分かるかな? 運転手の目線からだと天井見えてます。
 たまに正常な角度のときもありますけど、それでも見てないことがほとんどです。私は運転するときバックミラーめっちゃ見るんですけどね…。

 中国では日本とは違い、タクシーの運転手だからといって二種免許が必要ということもありません。通常の免許だけでタクシードライバーになることもできます。
 ですからおそらくその他タクシー以外のドライバーもバックミラー見てない可能性高めですね。
 中国と言えど広いのでどこでもかは分かりませんが…。

 ちなみにタクシー50分で80元くらいでした。
 去年は45元だったのに、高くなってるのかなあ。

 天津の話は次回に続きます。