日本語コラム

 病気になったって中国語では「病了」「生病了」と言うんですが、日本語よりも使用頻度があまりにも多いので長く疑問に思っていました。
 例えば学生が授業を休んだりして理由を聞くと”她生病了”。
 疑いはしませんが、絶対大丈夫?って聞いちゃいますよね…。

日本語の「病気」の意味

 辞書から抜粋すると「生体がその形態や生理・精神機能に障害を起こし、苦痛や不快感を伴い、健康な日常生活を営めない状態。医療の対象。疾病 。」
 要するにそのほとんどが治療が必要であることが多く、普通は病院に行く程度のものを指します。

 以下はtwitterのリアルタイム検索でヒットしたものです。

  (1) ○○先生は病気療養のため休載していた。
  (2) 足普通に病気で運動制限くらった。
  (3) 依存症という病気の治療は薬などを使わないほうがいい。

 このように、日本語の「病気」はいったんそうなったら病院に行ったり治療が必要になります。
 症状は相当程度重いことが多いです。
 

中国語の「生病」の意味

 学生に確認してみました。
 「生病了」「病了」は風邪でも発熱でも使うことができます。感冒や发烧と個別の言い方もありますが、こっちでもいいということですね。
 ただし心臓病などの場合は「心脏有病」のような言い方がありますから、どちらかというと重篤ではない時に使えるのだと思います。

 

「病気になった」の使い方

 日本語の「病気になった」は、単なる風邪や発熱の時には使えません。
 病気というと医者に診てもらわないといけない程度を想像しますから、間違って使うと過度に心配されるかもしれません。

 風邪の時は「風邪を引いた」、熱が出たら「熱がある」「熱が出た」と言いましょう。
 あるいは「具合が悪い/体調が悪い」という言い方も汎用的です。

 
 今まで心配しまくってました。
 違いはわずかですが、こういう話題の時は齟齬を生じないように気を付けたいものです。

日本語コラム

 ひょんなことからインフルエンザの話になったときのお話です。

(人´∀`) ここインフルエンザみたいなのあんまり無いよね。
(*´・д・) いんふるえんざ? それはなんですか?
(人´∀`) インフルエンザは流行性感冒だよ。人にうつるから危ない。
(*´・д・) なるほど~ あと「うつる」ってなんですか?
(人´∀`) 伝染だよ。
(*´・д・) そっか! うつるの漢字はどう書きますか?
 
(*゚Д゚) (…やっべ分からん)
 
(人´∀`) ちょっと携帯で調べるね~(逃げ)

 で、調べた結果がこれ!
 ↓↓↓↓↓

 まず答えから行きましょう! 風邪が「うつる」の漢字は「移る」です。
 調べたら「遷る」でもいいらしいんですけど、こっちは普通都が遷るとかの方に使うほうが自然。しかも常用外でした。
 普通は「移る」ですね。

 
 と話はそこで終わるはずだったんですが、ここからは話は脱線。
 ちょっと青い四角のところ見てください。

 伝染る 感染る

 この2つこっそり居座ってるけど、なんだか影武者みたいな感じがしますね。
 これ実は、試験なんかで使ったらアウトになるやつ

 この使い方は所謂当て字と呼ばれるものです。

 

当て字(あてじ)

 当て字とは、漢字の持つ音を借りて無理やり当てはめた漢字のことです。

 古いところでいうとヤンキー層がよく使ってた「夜露死苦(よろしく)」
 今はもうほとんど瀕死の言葉、「本気(まじ)」
 今では違和感なく幅広く使われている「真面目(まじめ)」も元は当て字でした。

 当て字の中には市民権が得られているもの得られていないものがあります。
 上述した「真面目」はJLPTの単語集や広辞苑にも載っていて、今では問題なく確かな日本語としての地位を確立しています。
 しかしほとんどの当て字は市民権が得られないまま使われ、やがて自然に消滅していきます。

 
伝染る 感染る

 で、さっきの「伝染る」「感染る」は今はまだ市民権獲得とまでは行ってない段階です。
 もしかしたら今後幅広く使われ始めれば、いずれ辞書にも載るかもしれません。数十年単位の未来だと思いますが…。

 さらっとこう予測変換に出てこられると、そうやって自然に見て覚えた学生が使い始めてなんてこともなきにしもあらず。
 日本語の漢字には音読みと訓読みがありますが、漢字本来の読みではない読み方が出てきたら注意してください。
 それは当て字かもしれません。変な当て字だったらわざわざ覚える価値はありません。

 近年は子供にキラキラネームを付けるのが一部(?)流行していて、そのほとんどは無理やり感ある当て字です。
 我々日本人も初見では到底読めない当て字を使う場合もあります。
 キラキラネームの話はまた別の機会にまとめて紹介するとして…

 
 話は大きく逸れましたけど、風邪が「うつる」の漢字は「移る」です!
 「伝染る」と「感染る」は当て字だよ、試験で使ったら✕だよって分かったうえで使ってくださいね。

日本語コラム

 日本語教師をこれからもやっていくにあたって、一つ不安に思ってることがあります。
 それは防ぎようがないから自分でもどうすればいいのか全く分からないんですね…。

 おそらく一種の海外で働く日本語教師の職業病みたいなものです。

 プログラマーが腱鞘炎になるように、日本語教師にも職業病ってあります!
 私はこの3年で身をもって知りました。

 ①オーバーリアクション気味
  学生と話すときは喜怒哀楽めっちゃはっきり!
  5W1Hを聞いて相手に話させてからリアクションで盛り上げて、やってることはMCのそれ。
  友達と話すときはそうじゃないのに。

 ②言葉を選んじゃう
  単語が難しすぎると分かりやすい言葉へシフトしたり、言葉も長く連ねないで良いところで短く切っていったり。
  これはN2レベルの単語だからー これはN1の文法だからわかるかなー とか話ながらそんなことばっかり考えてます。
  これは学生のためになってない…

 ③どこでも教材を探しちゃう
  テレビ番組とか見てても何か教材として使えないか考えちゃいます。
  そうやってメモしてきたメモ帳は今でも手元にありますが、そのほとんどは封印中。
  やる前に成功しないのが目に見えてても、閃いたときはメモっちゃいます。

 ④母語が分からなくなる。
  日本に帰ってすぐの時は日本語おかしくなってます。単語が思い出せなかったりするのは日常茶飯事。
  skypeで話してても友達からよく指摘されるんですけどどうしようもないですこればかりは。
  でも津軽弁はなぜか忘れないんですよね~ 不思議。

  これともう一つ、結構深刻なこと。
  中国語が多少分かっている”せいで“学生の変な日本語が分かってしまうこと。
  それは中国語を全く知らない日本人なら絶対に理解できない程度もあります。
  このレベルの誤用を知らず知らずにやり過ごしてしまうのは日本語教師として大問題です。

  そしてそれら全ては自覚していないのもまた問題。
  中国で日本人と全く交流がないがダメなのかな?

 
 日本語を鈍らせないために毎日地元のラジオやyoutubeでニュースを見てます。
 私の日本語が壊れた時、いよいよそこが潮時ですね…。