1年生後期会話

 今日は2年生に「~ようだ」の授業をしました。
 「ようだ」は1年生後期に既に勉強済みですから復習がてらという感じでした。しかし知識として持っているのと話せるのは別の能力で、覚えていても話せないというのは多々あります。2年生の時に1年生の勉強を復習するのもまた悪くないんですよね。

 さて、まずは「~ようだ」について簡単に説明します。「~ようだ」は大きく3つの意味がありますね。

 ①推測・推定
 五感を使って推測したことに対して使います。例えば「(山の様子を見て)明日は雨が降るようだ」など。朝の授業でしたから、目をこすったり突っ伏している人に対して「眠そう」なんて具合に例を挙げるともっと分かりやすいと思います。

 ②例示
 「君のような人とは話したくない。」 このような「ようだ」を例示と言います。君に似ている種類の人という感じの意味合いですね。教室では実際の例を挙げにくいので「今日はとりあえず気にしないで」と言ってスルーしました。

 ③比喩
 今朝はPM2.5が凄まじく、視界は非常に悪かったのがちょうど良かったです!
 「みんな外を見て。すごく白いでしょ?」
 「白い!」
 「これは何のせい?」
 「PM2.5!」
 「そうだね~ つまり、”今日の天気は天国のようだ”」
 天国は周囲が真っ白で幻想的な雰囲気がありますから、それにひっかけて天国と喩えました。現実的には「地獄のようだ」と言った学生もいましたけど、どちらでもいいですね。比喩ですからその人の捉え方によって違います。このような話をしたら一発で理解してくれましたね。

 ここまで「~ようだ」の用法3つを確認したら、先に「~みたい」についても説明しておきましょう。「~みたい」は「~ようだ」より口語的です。会話をする時は「みたい」を使うことが多く、この授業でも「みたい」を主体で使わせることにします。そして接続を確認しておきましょう。2つの接続はちょっと違いますから注意が必要です。

 その説明が終わったら「今日は比喩だけ勉強します!」と言います。3つ同時にやるなんて混乱必至ですから、時間ゆっくりかけて比喩を確実にマスターするのを優先しましょう。

 授業の本筋。もうちょっと比喩について練習します。

 私はちょうど冷え症持ちで、ちょうど今朝の気温は一桁。「私は手にちょっと病気があるの」「めちゃくちゃ冷たい」と言って学生みんなと握手しました。結局私が一番冷たい手でしたね。女の子より冷たいとはさすがに思いもしませんでした…。
 「先生の手は〇〇みたいに冷たい」
 もし一番人が学生ならその子の名前に変えるだけでいいです。
 この〇〇の部分に自由に単語を入れて形容してもらいます。学生に考えてもらったら「氷」が挙がりました。

 もう一つ、学生の中で一番肌が白い人を指して「__さんは肌が雪みたいに白い」なんて言ってもいいです。とにかく見たものをどんどん喩えていくアドリブ力が先生にも求められますね。

 そして授業の最も重要な部分。
 2人ペアで分かれてもらい、余ったらどこか3人にすれば問題ありません。そのペア間で他己紹介をしてもらいました。ただ普通に他己紹介してもらうだけではつまらないので、パートナーとなる相手を「彼女は〇〇みたいな人です」と比喩を使って表現してもらいます。喩えたらその後に理由も話してもらいました。

 「彼女は雲みたいな人です。」「太陽みたいな人」「熊みたいな人」「ハリネズミみたい」「インスタントラーメンみたい」という様々な喩えが飛び交いました。”インスタントラーメン” 何を言ってるかよくわからなかったんですが、理由は「最近かけたパーマがまるでインスタントラーメンみたいな感じだから」というもの。これこそ比喩の真髄ですね~

 授業前の想像では犬とか猫のような動物が大半を占めるんだろうなあと思っていたんですが、案外出ませんでしたね。もっと高度な喩えが見れて私も楽しかったです! 学生に想像力には感服しました。

 追記
 時間が余ったら、私が学生みんなを「何みたいだ」と喩えてみるのもいいでしょう。
 ある人は樹海みたい、彗星みたい、犯罪者予備軍みたい、蛇みたい。そんな感じで一人ひとり言っていきます。これをやるからには、全員に対して必ず喩えてあげることが必要です。先生の学生に対する印象、学生全員を知っていなければできないことですが、言われた学生はきっと嬉しいと思います!

1年生後期会話

 今日は前回の授受動詞①に引き続いて、②の授業をしました。
 ”AさんはBさんにチョコをあげる” という「物の授受」をやったのが前回。今回は物ではなく「動作の授受」についてです。「~してあげる」「~してくれる」「~してもらう」等、て形が授受動詞の前につきますから難易度はやや高め。日本人はよく使う言い方であるのにも関わらず、学生はあまり使ってくれないのが一つの難点なところ。

 まずは物の授受を復習します。
 お金でも携帯でも何でも良かったんですが、せっかくですから実際に学生の指輪を借りてやりました。男女一人ずつ教壇に読んで、指輪を男の子から女の子へと渡させます。このワンシーンは何も言わなくてもプロポーズだと分かってくれるので、教室中そのやり取りに釘付けになってくれます!

 [ A ]は[ B ]に[ 物 ]をあげる。
 [ A ]は[ B ]に[ 物 ]をもらう。
 [ A ]は[ B ]に[ 物 ]をくれる。

 この3行を黒板に書いて、物の移動はAからB、BからAなのかを確認します。同時に、もらうとくれるはどっちが嬉しいのかも確認しておきました。
 途中脱線して「テロリストは私たちに毒ガスをくれた」なんていう不謹慎な話題で盛り上がりました! 不謹慎ではありますが、まあ教室の中の出来事ですから楽しんでくれさえすれば関係ないと思ってます。くれるを使うとより嬉しい感じがしますから、この文からは「死にたい」という感情あるいは強烈な皮肉を感じることができます。そこらへんの説明はしませんでしたが、この文の奇妙さには言わずとも気付いていました。

 さて、ここまでやって予習は終わり。その後は本日の内容ということで、上の3行をこのように書き換えます。

 [ A ]は[ B ]に[   ]を~てあげる。
 [ A ]は[ B ]に[   ]を~てもらう。
 [ A ]は[ B ]に[   ]を~てくれる。 

 あげる、もらう、くれるの前に動詞のて形が接続される形です。て形を覚えていない人のために、ここでざっと簡単にて形の復習をしました。

 

 まずは練習。
 「〇〇くん、ちょっと窓を開けて」と言います。
 開けてくれたら、「〇〇は私たちに窓を開けてあげました。」「開けてくれました」「開けてもらいました」と言います。つまり、ここでは”「窓を開ける」という動作を私たちにプレゼントした”と言い換えることができます。このように説明すれば動作の授受は理解しやすくなりますね。

 窓以外にもいろんなことができます。
 教室を歩いてわざとお金を落とし、学生に拾わせる。 → 学生は先生にお金を拾ってあげた。
 学生に「電気を消して」と言う。 → 学生は先生に電気を消してくれた。
 携帯を教室の後ろに置いて、学生に持ってこさせる。 → 私は学生に携帯を持って来てもらった。
 ※このパートでは尊敬語は扱いませんから、混乱を避けるためにも先生と学生の地位の差にはあえて触れません。

 直接誰かを指名して、「Aさんが頭が痛い。Bさんどうする?」
 「Aさんが授業の時教科書を忘れた。Bさんどうする?」
 「Aさんがとても家に帰りたいと言っている。Bさんどうする?」と、架空の状況を想定して質問してあげてもよさそうです。

 そして今回のメインディッシュ。
 テーマは「つらいとき、友達に何をしてあげましたか? 友達は何をしてくれましたか?」です。 一人ずつ過去の自分を思い返して例文を作ってもらいます。

 一番面白かったのは「私は前の彼女に”さよなら”と言ってあげる」でしたね!
 恩恵表現である授受動詞ですから、「さよなら」をプレゼントするのは本来適切とは言えません。しかし、別れていながらもどこか前向きな感じがするこの一文。私が「詩人みたい」というとすごく喜んでくれましたね。「その後彼女は何と言ったの?」「新しい彼女にはどう言ったの?」と更に更に聞いていくにつれて紅潮してくのが分かりましたね~。 彼は2年生の心臓、いつも面白い例文を考えてくれます。仲が良くなければこんないじりは決して出来なかったでしょう。

 というように例文を言ってくれたら、いつ? どうして? とさらに掘り下げて聞いてあげるスタイルで行くと間が持ちます。このくらいのボリュームで100分。毎回適当に雑談しながら授業運営してるんですが、なんか理想的な授業になって来た感じですね。つまるところ、教案というのは授業中私と学生が会話をするためのツールでしかないんだと最近思えてきました。

1年生後期会話

 今日は2年生に道案内の仕方を教えました。今学期はじめのアンケートで”道を教える時の日本語を知りたい”という回答があったので、それに応えての授業内容です。2年生にもなると色々な単語・文法が使えるようになっているので授業の幅もぐっと広がり、私も授業をしていて楽しいですね。

 まずは道案内をする時の言葉を教えます。その時、以前はプロジェクターを使って地図を見せたんですが、現在地を指し示す時に書けないので不便だったり、光の関係で見にくかったりという反省点がありましたから、それを踏まえて黒板に書くことにしました。まず書いた地図は上の写真、至って簡単なもの。5つの地点がありますが、それぞれ「どんな建物がいい?」と聞いたら、スーパー、食堂、寮、しゃぶしゃぶ等と答えてくれました。しゃぶしゃぶは最近学校の近くに新しくできたお店です。こういう小さなところも質問してあげると思わぬ盛り上がりがあったりします。

 地図を扱う前に、基本的な言葉を導入しておきます。
 まずは東西南北。方位磁針を書いて方角の名前を確認させます。ついでに北西、北東、南西、南東も教えるといいでしょう。このあたりは中国語と言い方が異なりますし、何より「北」が「ほく」なのか「きた」なのか、「西」が「にし」なのか「せい」なのかで一悶着できます。

 続いて、十字路(交差点)、T字路(丁字路)の名前を確認。十字路を書いて、このような道の名前は?と聞いてみます。それをT字路も同様にやっておく。これは中国語と同じ言い方が存在しますからあまり難しくありません。またL字路も存在しますが、実際は分岐のない一本道ですから「まっすぐ進む/まっすぐ行く」と言えば問題ないと思い教えませんでした。
 他にもある?と聞くと「丸い交差点」と答えた人がいました。「環状交差点(ラウンドアバウト)」のことですね。学校の近くに1つだけあるので印象に残っていたんでしょうが… これはN1にも出てこない単語じゃないでしょうか。

 最後に「右に曲がる」「左に曲がる」「前に進む(真っ直ぐ進む)」「後ろに戻る」の4つです。後ろに戻るだけは授業中には使いませんから省略しても良かった部分でした。右と左という言葉を引き出すため、「食べるときにどっちの手を使う?」と聞きました。15名ほど居た教室の中で3人左利きがいましたね。「右に行く」でも問題はありませんが、自然に話すなら「曲がる」です。

 これらを理解してもらったらやっと活動開始です!

 黒板上の地図に、どこでも良いので現在地を記します。その現在地から適当な場所まで案内。まず先生が例としてやってみます。
 例えば…

 現在地から【東】に進みます。
 1つ目の【交差点】を【右】に曲がります。
 2つ目の【T字路】を【左】に曲がります。
 真っ直ぐ進むと、【右】に建物があります。
 今どこですか?

 このような言い方で案内しました。【 】の中だけ適宜入れ替えるだけで案内が可能です。このような簡単なテンプレートを与えることで、この後の活動がスムーズに進められます。これらを2回くらい練習してみたらいよいよ本番。下の写真の地図を黒板に書いて、学生にやってもらいます。雑談しながらでしたから、ここまでで50分くらい掛かりました。

 ①から⑮までの地点がありますが、もっと地点を増やしてもいいと思います。実際足りないなあと思って直前に25地点にまで増やしました。
 ルールは簡単。学生には好きな現在地(出発地点)とゴールとなる目的地を決めてもらいます。ここで重要なのは、目的地は他人に言わないで秘密にすることです。現在地から目的地までの案内を教壇まで来てもらって説明してもらい、到着したら他の学生に「今どこ?」と聞いて当ててもらう。これが中々ウケました!

 あるはずの無い交差点をあるはずの無い方向に曲がったり、今どこにいるのか分からなくなったりするのは普通ですが、つたなくても最後まで伝えることがポイント。みんな意地になって日本語だけで案内してくれたので、ゲームとしても大変盛り上がりました~。中にはちょっと遠回りしてわざと複雑にしたり、テンプレートを自分流にアレンジしたりと2年生らしい部分が垣間見える場面もありましたよ! 結局6人くらいに教壇に来て案内に挑戦。内容が内容ですから全員チャレンジするのはできませんでしたが、手ごたえ抜群の授業でしたね。

 十字路、T字路が配置されてる地図を用意するだけで出来る授業ですから、ぜひ試してみてください!