日本経済

 第3回目の日本経済の授業です。来年のために今回の内容をここにまとめておきます。

 まずは授業の最初の掴みで最近の日本のニュースを紹介。「iPhone X」の話題が多かったので、それに関するニュースを紹介しました。中国では、iPhoneはほんの数年前まではかなり人気だったんですが、近年売り上げが落ちてきてるという現状があります。同時にsamsungも前年比マイナス二桁くらいでした。その代わりoppo、huawei、vivo、xiaomiなどの国産スマホが市場を席捲してきてることも紹介。身近なニュースでしたので掴みは完璧でした。

 続いて本題に入る前のちょっとした活動です。今回はネットで見かけた「アクティブ・ラーニング」というのを導入してみました。

 まず想像を膨らませるために「家族で一番重要なことは何か」と聞きました。これは30秒くらい考えてもらって、5人くらいに回答を聞いてみました。家族愛(感情)、お金等々と答えてもらいました。この話題は数分くらいで終わります。
 そこから更に大きな話になり「国家運営に必要なものは何か」と再び質問。

 流れとしては以下。
 ➀まず個人で必要だと思うものをたくさん挙げてもらう。(5分程度)
 ➁それを重要だと思う順に順番をつける。(3分程度)
 ➂4~5人のグループに分け、グループで一つの意見をまとめてもらう。(15分程度)
 ➃結果を黒板に書いてもらう
 ➄各グループに根拠を聞いて、各グループの考え方を教室全体で共有(5分程度)

 学生からはこのような回答がありました。
 経済、人口、文化、領土、軍事力、教育、法律、科学技術、独立性、外交、生産力、信仰、資源(エネルギー)、愛国心、リーダー、食料…

 グループで意見をまとめる時、一人の男の子が「1番は人口、2番は信仰」だと主張。この2つがあれば国家と言えると言ってて何だか凄いなあと思ってしまいました。この定義によるとISISも国家として扱えるというわけですね。

 この活動では絶対的な答えは存在しないので、学生がどんな答えを言ったとしても否定しません。そして私の存在をできるだけ消して、学生が主体となった学習を促すのが目的です。この思惑通りグループで意見をぶつけ合う場面では恐ろしく白熱した議論が繰り広げられ、休憩時間でも止まりませんでした! 私はほとんど進行するだけで何もしなかったので、何だかこれが面白い授業の究極のような感じがしてます。

 ➄が終わったら私の方からまとめ。
 正しい答えはなくて、実は全てのものが国家にとって重要。しかし今回は震災以来日本を悩ましているエネルギーについて勉強します。というようなことを言いました。後は用意したパワポの出番。

 今日の授業はほぼ完璧と言える内容でした。アクティブ・ラーニングは他に授業にも活用できそうな手ごたえがありましたので、少し模索してみようと思います。
 以上今週の日本経済でした。

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日本経済

 2回目日本経済の授業のテーマは人口問題。日本の人口問題について話していきます。

 授業の最初にyoutubeから最近のニュースを一つ紹介します。今回は「日本の人口減少、人口の首都圏集中、一票の格差が2倍を超える」です。ちょうど1年前のニュースなんですが、今回は人口を取り上げるのでこのニュースを選びました。

 なぜ人口は首都圏に集まるのか。中国に例えて理由を聞いてみたりします。
 一票の格差は説明が難しかったんですが、人口が多いと一票の価値が低くなると言えばなんとなく理解してくれた感じでした。そもそも学生には投票の経験が全く無いので、この辺りはスルーしてもいいかもしれません。

 ニュース紹介が終わり、まず導入で世界や中国、日本などの人口はいくらか聞きます。ここではついでに人口が多い国トップ10なんか聞いてもいいかもしれません。
 視覚的に理解するためにプロジェクターで人口ピラミッド(populationpyramid.net)なんか見せるとよりよかったです。

 ここでは平均寿命、合計特殊出生率、第1次・第2次ベビーブーム、高齢化率などに触れました。

 休憩をはさみましたので話題を少し変えます。”人口が一つのところに集まる”から派生して、この今いる大学近辺のことを考えさせます。大学の周りはどんな店が多い?と聞いてみると飲食店が多いと答えます。さらに飲食店が多い理由は?と聞けば、学生がたくさんいるからと。

 ここからはちょっとしたゲーム。
 「将来自分のお店を作りたい人」と挙手してもらって、その人たちに参加してもらいます。
 簡易的な架空の駅周辺の地図を黒板に書いて、まず私が仮の喫茶店を地図上の任意の場所に☆を書いて出店しました。この後参加者に「私のお店はここにありますが、あなたはどこに出店しますか?」と聞きます。私の近くに☆を書く人もいれば、真逆に書く人もいました。

 次、夏海に行きましたか? 海では何食べたい? という具合の切り口で、ホテリングの立地競争ゲーム「浜辺のアイスクリーム屋」に話を持っていきます。

 

 流れとしては

 ➀海岸沿い1000mで、あなた一人だけが出店するならどこを選ぶか。 → 中央500m地点
 ➁AとBの2人が出店するなら、それぞれどこに出店するか。 → Aは250m地点、Bは750m地点(社会的最適解)
 ➂私をA、学生たちBとして、まず私が300m地点に出店する。Bはどこに出店する? → 700m地点
 ➃しかし↑では売り上げが均等なので、Bは不満。Bはどこに場所を変えるべきか。 → 301m地点
 ➄↑の影響でAの売り上げが激減。Aは場所を変えます。どこに変えるべきか。 → 302m地点
 ➅↑の影響でBの売り上げが激減。Bは場所を変えます。どこに変えるべきか。 → 303m地点
 …

 最後はこれを繰り返していき、AもBも500m地点に出店すること(ナッシュ均衡)になります。

 ここから喫茶店の話に戻って、参加者の☆の位置を確認。この立地競争モデルによると、同じ種類のお店は近くに出店するほうがお互いにとって良いという結論が得られます。このような現象は観光地のホテルやお土産屋、飲食店、各局の面白いテレビ番組なんかにも共通することを教えます。

 最後人口が集中する話に戻って「なぜ人口は集中するのか」と聞いてみると…
 始めは便利だからという意見が大半だったのに対して、最後は人がいるからという意見に変わってました。ここで授業は終わりです。

 ※本来ホテリングの立地競争モデルで人口が集中する理由は説明できません。

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日本経済

 3年生を対象にした日本経済の授業です。私の大学の専門が経済だったことから会話以外に特別にこの授業を受け持つことになりました。日本語は勉強したいですが、日本経済は勉強したいかというと実際多くの学生はそういうわけでもないので、この授業ではさらっと日本経済の現状の問題点、解決策、政策に触れつつ、あとは全く興味がない人でも面白いと思ってもらえるような経済のお話に触れさせながら進めていくつもりです。来年のためにも今年やったことをここにちゃんとまとめておきます。

 第1回目、まずは日本の戦後70年の日本経済の歴史をざっと復習。戦後の状況、64年の東京オリンピック、68年にGNP世界第2位へ、71年のニクソンショック、第1次、第2次石油ショック、85年のプラザ合意、バブル景気、89年12月の日経平均最高値、その後のデフレ経済突入、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、そして12年のアベノミクスと14年消費税8%。各部分で適当に雑談入れていって、当時中国では何があったの?とかそんなことを織り交ぜて、できるだけ私の一人語りにならないように工夫しました。

 その後は日経平均株価過去最高値の3万8915円を再び取り上げて、授業前日の日経平均株価と上海総合指数を見せます。ここから株や投資の話に持っていきました。
 上の画像を見せながら「この後株価は上がると思う?下がると思う?」と質問。いくつかの学生に聞いてみて、理由もあれば言ってもらう。大半は「分からない」というので、ここで一つの動画を見せました。

 youtubeから拝借した酔っ払いが千鳥足で歩く様子の動画です。それを見せてまた「この人は何をしているの?」と聞きます。「酔っている」という答えを引き出します。続いて「酔っている人は次右に行くか左に行くか分からない。つまり右に行く確率は50%、左に行く確率は50%です。」と説明。学生達はうなづいて興味津々で聞いてくれました。そこで黒板に予め書いておいたこの図に注目させます。

 今日はランダムウォーク理論を勉強することを明確にします。カタカナで書くと分かりにくいですが、乱歩・酔歩と書くとすぐわかってくれました。
 この図の一番左の最初の〇がスタート地点。ここから右に行くか左に行くかを決め、それを10歩繰り返します。ずっと左に進めば、図一番右上の①に着くという具合です。ここでまた「この人は10歩歩いたらどこにいるでしょう。」と質問し、写真の左側の数字のうちどこに行くかと予想してもらいます。ここで10分の休憩時間。休憩時間中も目の色が変わり中国語で議論が繰り広げられてました。

 休憩明けに実際に試してみることに。学生一人ひとりにオセロの駒を配ります。オセロの駒でなくても、表裏のあるコインのようなものがあればそれでも代用できますが、黒と白の分かりやすさからこれを採用しました。白が出たら左へ、黒が出たら右へ進むのを10回繰り返して最終的にどこに着いたかを教えてもらいます。

 ①0人
 ②0人
 ③1人
 ④3人
 ⑤5人
 ⑥4人
 ⑦5人
 ⑧3人
 ⑨0人
 ⑩1人
 ⑪0人

 確率的に大体正しく中央に集中してくれました。この結果を見せて、どのようなことに気付いたかを考えてもらいます。すると「真ん中が多い」と答えてくれますので答え合わせ。数学の組み合わせを使って確率を説明したんですが、高校は文系として勉強していたので全く勉強したことがなかったようです。この辺りの計算の説明は端折って、計算すると高い確率で中央に来るよと教えるだけで十分でした。そしてそこに正規分布を書きます。結果、この条件下でさっきの酔っ払いが10歩歩くとちょうど前方に進む可能性が一番高いという結果が得られました。

 ここで最初の日経平均株価の推移図に戻ります。「この後株価は上がると思う?下がると思う?」という質問でしたが、以上のちょっとしたゲームで分かったことは「株価は今後上がったり下がったりを経て、結局同じあたりの株価になる可能性が最も高い」という結論です。

 株価は世界中の全ての情報の影響を受けて変動するので分からない。だから未来を予測しようとしないで、過去を学ばないと投資は難しいという具合に更に説明を付け足したりしました。最後に猿のダーツ投げについて話をして終わりました。

 手ごたえは大変良かったです。日本語の授業とはまた違った雰囲気で楽しくやれました。次回も真面目にやりすぎず、ゲームを交えて興味を集めるような授業を目標にします。

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