日本経済

 第六回の日本経済の授業。
 今回は日本の税制についてです。

 いつか見た事のあるオイコノミアの内容を参考にしまして、今回も席を移動させたりしてアクティブな授業を心掛けました。

 「税金の意味は何ですか?」
 ・国家運営
 ・軍事
 ・格差解消

 「成功に必要なのは運か努力か」
 スピーチのテーマみたいな悩む2択なんですが、今回は日本経済なので数分考えてもらって答えを出してもらいます。
 運は10人、努力は8人で拮抗。

 「最近何か良い事ありましたか?」
 答えの内容によって、内的要因と外的要因にグループ分けし、席を移動してもらいます。
 内的要因は才能や努力によるもので、外的要因は運や偶然によるものです。
 例えば「天気が良かった」というのは自分の努力や才能の範疇ではないので、外的要因です。

 このグループの中で最後通牒ゲームをします。

 ルールは以下。
 ・2人1組になり、1人は提案者、もう一つは回答者になる。
 ・2人で1000元を分け合う。
 ・提案者は、その1000元をいくらで分け合うか決める。
 ・回答者は、その提案に賛成、反対する。
 ・賛成した場合は、その金額を受け取る。
 ・反対した場合は、2人とも0元。

 このゲームをやってもらったり、そのゲームをする意図を考えてもらったりする時間を十分に与えます。5分~10分程度でした。

 各グループにどのくらいの金額を分け合いましたかと聞いたところ、やはり内的要因のグループより外的要因のほうが幾分か多かったです。
 実際最近良い事について内的要因を述べたグループ(利己的)は、外的要因を述べたグループ(利他的)よりも寄付額が25%も少ないという実験結果もあり、それをクラスの中でも実証できました。

 結論ですが、運のおかげで成功したと思う(利他的な)人が増えれば、税金や寄付も増えます。
 ここで用意した税制のパワポ30分くらいやり、最後のまとめ。

 最初質問に戻り、「税金の意味は何ですか?」
 今日言いたい事は「富の再分配」でした。

 最後時間が余ったので、100元札の大きさを書かせるという心理テスト(?)をしました。
 実際よりも大きめに書いた人は100元の価値を低く評価していて、小さめに書いた人は高く評価していることを表します。
 言い換えれば、「税金の意味は何ですか?」小さく書けばお金を大切に思っていて、大きく書けばお金持ちの考え方ということですね。

 
 今回の反省点としては、最後通牒ゲームのルール説明をもっと十分に行うべきでした。
 来年はここに注意してやりたいと思います。
 それ以外はおおむね問題ありません。

 以上、6回目の日本経済でした。次回は一週間後です。

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日本経済

 3年生の第5回日本経済の授業です。今週末に国慶節大型連休を控えてますので、真面目に授業するというよりはなんか遊びたいなと思って「貿易ゲーム」をすることにしました。
 youtubeなんかで色々見てみましたが、資源や技術の不平等さや各国の立場を理解するにはとてもいい教材です。

 というわけでまずは準備。私が用意したものはこれらです。

 ・厚紙80枚(A4よりも一回り大きい)
 ・分度器6つ
 ・定規7つ
 ・オレンジ色のペン7本

 近くの文房具屋さんで50元程度。
 薄い紙ですと製品を作る際に数枚まとめて切れますので、これを防ぐために厚紙を用意しました。
 あと必要なハサミは学生に各々持ってくるように頼みました。6本あれば十分だったんですが、授業直前の呼びかけで10本くらい持ってきてくれました。

 授業20分くらい前に教室に入って一人準備してました。
 まずはルールと製品図を黒板に書きます。

 ・各国は製品図に従い、製品を作って世銀へ売る。
 ・世銀は製品の品質確認をする。
 ・製品は渡したものだけ使って作る。
 ・他国との交渉・貿易は自由。
 ・最後一番お金を稼いだ国が勝利。
 ・その他のルールは国連(先生)が判断する。

 製品図はこちらです。

 3人1組で全6グループ、そして世銀2人用意しました。計20人。
 各国に渡す道具をそれぞれ袋に入れて見えないようにします。その袋に入れるものはこのように振り分けました。

はさみ
分度器
定規
ペン
16 16 13 13

 左2つを先進国、中央2つを発展途上国、右2つを後進国とします。
 この分類はゲームの終わりまで教えません。

 授業の初め、まず何もいわず6つのグループに分かれてもらいました。
 それぞれできるだけ距離をとってまとまるよう席を変えます。作業には大きなスペースを確保しなければならないと思ったんですが、小さくてもわりと工夫してやってくれました。
 ここでテーブルの上にあるものをカバン等にしまってもらいます。その他の道具を使わせないためです。

 そして基本的なルールを説明。
 黒板に書いてある通りに一つずつ説明しましょう。
 初期設定として、制限時間は40分としました。

 開始するとすぐみんな自国の状況を話しあっていました。紙が多いだけで生産することができない国は次第に他国にスパイを出していき、3分もしないうちに道具と紙の取引が成立していました。交渉という仕組みを理解してくれるかどうか不安だったのですが、各々積極的に動けていたので杞憂でした。

 完全な生産体制が整っているのはこの時点で3組ほど。
 紙を出し渋るあまりハサミが調達できず、結局最後まで定規で切断する作業を強いられていた組もありますし、製品図を計算して面積あたりの利益率が高い図形を探すなど、ちょっと異なるアプローチから製品を作っていこうとする組もありました。

 10分後、発展途上国と後進国の同盟のような関係が成立。
 後進国はハサミや定規を借りる代わりに紙を上げることになっていました。これでひとまず生産活動は行えることになりましたが出遅れた感はあります。

 15分後、生産した製品を世銀に持っていく姿がよくみられました。
 写真左側が各国代表で、右側が世銀です。ちょうど教卓に陣取っています。
 世銀による製品の品質確認は王くんに託され、1ミリ違うだけでも許さないスタンスが各国の精密な生産活動を促していました。
 品質確認が通ると次は劉さんの出番。その製品に現在のその図形の金額と劉さんのサインを書きます。これによってようやく製品がお金と変わるわけです。

 20分後、長方形の製品がかなり出回りましたので、価格を2000円から1500円に下げました。その代わり三角形を値上げ。分度器は据え置きです。
 これによって生産活動に動きが出ます。長方形の生産は抑えられ、代わりに分度器型の図形が多く持ち込まれるようになりました。

 30分経過。
 ハサミを調達できなかった組は生産力が低くジリ貧。「私たちの国は貧乏だ」と言ってましたが、それでも3人で頑張っていました。
 先進国たちは3人で着実に製品を作っていきます。線を引く人、切る人、世銀に持ってく人と役割分担も見られます。ハサミに余裕があるところはそれぞれが線引いて切っていました。

 40分経過。
 まだまだ作業中なところが多かったので10分延長。
 分度器型の図形がかなり多くなりましたので、値段を1500円に下げました。
 値段が下がったことで今まで作りためていた分の価値が下がったことに悲鳴が上がっていました。

 50分経過。
 まだまだやりたりなさそうだったので更に10分延長。
 分度器型の持ち込みは減らず、最後の値下げ。1500円から500円にしました。
 その代わりに三角形型を4000円にします。

 あと5分の合図をすると、各国必死になってラストスパート。この辺りで世銀の王くんは大変なことになっていました。それでも一切怠ることなく一つずつ冷静に確認。たまに罵声を浴びせられるようなこともありましたが、それでも淡々と仕事する姿は本当にすごかったです。

 そして終わり!
 結果発表の時間です。

はさみ
分度器
定規
ペン
16 16 13 13
156,500 124,000 92,000 2,500 48,000 58,500

 先進国がトップになるという順当な結果となりました。
 発展途上の一国はたった2500円という結果でした。生産活動は行ってましたが、世銀の品質確認ではじかれまくった結果です。

 最後に全体で振り返ります。
 ・それぞれの立場(国)から感想を聞いてみる。
 ・道具(技術)のない国、紙(資源)のない国はどのように立ち回ればよかったか。
 ・価格が変動した理由。

 この授業は過去最大の盛り上がりでした。しかし日本語の授業ではなかなか使いにくい内容ですから、今のところ日本経済でしか使い道がないですね。
 1年1回の鉄板ネタだと思って保管しておきます。

 以上、5回目の日本経済でした。
 次回は国慶節後の10月12日です。

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日本経済

 日本経済の授業は100分みっちり本の内容やってるとホントついてこれなくなるので、私ばかり話すのではなく、会話の授業の手法を取り入れて学生と対話形式で進行するのを心掛けています。その一環で前回からアクティブ・ラーニングの手法を取り入れてみてます。今回も同様です。

 第4課では「突然100元もらったら、どう使う?」という問いを投げてみました。

 通常このような話をする時は10万元など非現実的な場合が多いんですが、今回は実際に100元を持っていってみんなに見せます。
 これをプレゼントします。自由に使ってもいいです。何に使いますか?という簡単な問題なんですが、これがまた100元という妙に現実的な金額なので悩んでくれます。

 3分くらい考えてもらって、一人ひとり聞いていきましょう。
 参考まで、このような回答がありました。

 ・貯金する
 ・様々な肉を食べる
 ・転売資金として運用し、更にお金を稼ぐ
 ・鍋食べる
 ・弱い人にあげる
 ・食費に充てる
 ・果物

 これは学生達のイメージを膨らませるための掴みみたいなものです。
 続いて更にメインの質問。

 「最も幸せになる100元の使い方は何?

 最初の質問は自分でどう使いたいかだったのに対し、2つ目はどうすれば幸せになれるかというものです。
 ここでは周辺のグループに分けて、結局15分くらいじっくり考えてもらったかなと思います。
 毎度ながらこの15分間は意見が飛び交って大変盛り上がります。テーマが良いのか、手法がいいのかはまだ私も分かっていませんが…

 5つのグループの回答を黒板に書いてもらいました。

 ・一番キレイな夜空に花火を打ち上げる
 ・まず貯金して、必要な時に使う
 ・生配信してお金を稼ぐ
 ・焼き羊肉、焼き牛肉、焼き鳥を食べたり、ビールを飲んだりして、ちょっと散歩して、それからお菓子を食べる
 ・両親と一緒に「复兴号」に乗る

 ここまで来たら、いよいよ「限界効用逓減の法則」の出番ですね。

 ちょうど学生が休憩時間に桃を食べてましたので、桃でやることにしました。
 写真のような図を書いて、1マスずつ説明して埋めていきます。

 同じことを繰り返すだけでは満足度はなかなか高くならないので、100元の中でできるだけ色んなことをするのがいいという結論になりました。ということは「焼き羊肉、焼き牛肉、焼き鳥を食べたり、ビールを飲んだりして、ちょっと散歩して、それからお菓子を食べる」という回答はほんと完璧でした!

 これは食べ放題の食べ方とか聴く音楽とかにも共通することですね。特に恋愛にも言えることですよーって言ったらめちゃくちゃ笑ってました。
 「毎日彼氏を変えるのが満足度高い」と言えるんですが、「同じ相手とでも毎日場所を変えて会ったり、違う話をしたりする」のが重要だということです。

 ここまでで70分近く経ってたかなと思います。
 あとは用意してたパワポと資料、残った30分ほど日本の物価問題に触れて終わりました。

 今回もとっても面白かったですね。
 来週は国慶節前最後の授業ですから、ゲームをやりたいと思っています。

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