日本経済

 今回は国の歳出・歳入構造について勉強します。
 大まかに言えば一般会計予算、国債発行額、対外債務、デフォルトについてです。
 2015年にデフォルト(債務不履行)したギリシャと比較して、日本の財政状況を学びます。

 また、今回は日本語学習者にも分かりやすくするために「国の借金」という言葉を用いています。
 厳密に言うと不適切な言葉ではありますが、今回は特別にイメージしやすくするためです。

 ➀国の終わり方
 まずは学生自身に考えてもらいます。
 国が終わる時はどんな時か。経済に限らず、あらゆる可能性を考えだして黒板に書いてもらいます。
 予想される答えとしては、

 ・赤字が続く
 ・自然災害
 ・戦争
 ・隕石…

 日本で言えば自然災害は大地震、津波、富士山の噴火などいろいろあります。
 ついでに首都機能移転計画についても話しました。

 ➁財布を例にとって解説
 国の終わり方のうち、経済に関係することに話を持っていきます。
 まず個人から。家計が赤字続きで金融機関からの借入も返済できない状況だと破産します。
 会社だと? 国だと? 

 人 …破産
 会社…倒産(破産)
 国 …財政破綻

 ➂日本の財布事情について
 用意した国の歳出・歳入構造.pptを使います。
 今年度の国家予算、国債発行額、世界で一番国債発行している国は?
 などなど順番に説明します。

 国債が分からない学生がいましたので、中国と日本を例にとって説明をしました。
 基本は人と銀行の間で行われる貸し借りと同じなので、これを関連させると分かりやすいと思います。

 ➃ギリシャ危機
 ↑で日本が2017年度に合計1000兆円を超える借金をしているということが分かりました。
 このあたりで日本は大丈夫?という空気が教室に漂います。
 ここで一つ問題を切り出します。
 「最近世界で財政破綻した国を知っていますか?

 2015年にデフォルトをしたギリシャです。
 知らない人もいるかと思いますので、ギリシャについても簡単に説明します。

 続いて、ギリシャの当時の財政状況について触れます。
 日本と同様多くの国債を発行しており、 対外債務のGDPに占める割合は1位の日本に次いで2位でした。
 ここで「IMF」と「デフォルト(債務不履行)」の説明です。

 ➄なぜ日本はデフォルトしない?
 日本もギリシャも対外債務のGDPに占める割合は世界トップです。
 ギリシャが財政破綻したということは、日本もするかもしれません。
 では、なぜ日本は今の今まで財政破綻しないのでしょう?
 これが今日一番問いたい問題となります。

 少し時間を与えて考えてもらいます。

 ➅日本国債は誰が買っている?
 日本国債のうち94%は日本国内の買い手によって買われています。
 残りの6%が海外です。

 またGDPに占める対外債務の割合は、2017年度日本は10.5%ほどです。
 (ちなみに中国は2016年6月時点で46.1%です。)
 これは世界の中でも極めて低いほうです。
 中には1000%を超える国もあり、これを見て分かるよう日本の海外への借金の割合はかなり少ないと言えます。

 ギリシャと日本は何が違うかと言うと自国通貨と外国の通貨の違いです。
 日本国債の返済は、相手が日本国内ならお金を刷って返せばいいだけです。
 これが日本がデフォルトしない理由ということになります。

 ➆インフレの危険は?
 刷って返すことは深刻なインフレを招くのではないかという学生からの質問がありました。
 マネーサプライ(通貨供給量)を見ますと、この一連の流れの中で影響を及ぼすような大きな変動はありません。

 ➇まとめ
 借金は多いですが、財政破綻をする可能性はほぼありません。
 ただ、この国債依存型の財政を改善するために税制改革などを行っていることをまとめとして終わります。

 
 学生は相変わらず興味津々で聞いてくれました。
 これは過去の授業の成果だと思います。
 しかしこの内容だと特に学生を巻き込んで授業をするという感じではなく、多くは私の一人語りとなってました。
 当初の方針とは違う教案になってしまったので、一部改善が必要かなと思ってます。

 来週はもうちょっとアクティブな授業をするよう工夫したいと思います。
 以上12回目の日本経済の授業でした。

日本経済

 第11回目の日本経済です。
 今回は日本の貿易を勉強しながら、「比較優位」と「自由貿易」について教えます。

 ➀人生で大切なことは?
 まずはこの質問が導入です。
 2~3分考えてもらって、一人ひとり聞いていきます。
 自由、家族、お金、いろんな回答がありました。
 この質問の答えは授業最後に再度回収します。

 ➁心理テスト
 続いて、この心理テストをしてみました。
 [心理テスト] あなたが人生で最も大事だと思うものは?

 【唇】希望・未来
 【帽子】現在
 【鳥】心・欲望
 【ピアス】自由・個性

 ➂日本の貿易について
 これは用意したパワポで説明します。
 日本の経常収支の推移、貿易相手国、輸出・輸入品目
 ついでに中国の貿易相手国などで比較してみます。

 ➃関税と貿易摩擦について
 日本とアメリカを例に挙げました。
 日本産の米を200円/kg、米国産の米を50円/kgとし、アメリカから輸入した時の日本産の米の競争力について触れます。安い方がよく売れますが、そうすると日本の農家を守ることができない等…
 これを防ぐために「関税」をかけます。
 しかし関税が高すぎるとアメリカ側が不満を抱く。これが「貿易摩擦」です。

 ➄FTA(自由貿易協定)
 ここでFTAについて教えます。
 貿易摩擦を緩和するための手段の一つです。

 これもパワポを用意しましたが、不具合で開けませんでした。
 今後作り直さなければいけません。

 開けませんでしたので、口頭で軽く説明しました。
 ASEAN、NAFTA、EU、TPPなど…

 ➅比較優位
 貿易の話をしたからには、比較優位は触れないわけにはいきません。
 というわけでここに一番力を入れて説明をしました。

 Aさんは8時間で16匹の魚を、8時間で2羽の鳥捕ることができます。
 Bさんは8時間で24匹の魚を、8時間で12羽の鳥を捕ることができます。

 Bさんは全てにおいて優れているので絶対優位、それに比べてAさんは比較劣位と言います。
 Aさんは鳥1羽捕ると、魚8匹を失う。
 Bさんは鳥1羽捕ると、魚2匹を失う。
 ここから分かることは、Aさんは魚を捕るのは得意で、しかもBさんよりも比較的得意だということ。
 これを「比較優位」と言います。

 例えばAさんもBさんも4時間ずつ魚と鳥を捕った場合、その合計は魚が20匹、鳥が7羽です。
 しかしAさんは比較優位である魚を8時間捕り続け、一方Bさんは2時間魚、残り6時間鳥を捕った場合の合計は、魚22匹、鳥9匹となります。
 この結果は4時間ずつ捕った場合より多くなっています。

 ➆国と国の比較優位
 AさんとBさんでは人と人でしたが、これを日本や中国、アメリカなどに変えても同じことが言えます。
 仮に絶対劣位でも、比較優位という考え方によって得意を生かすことができます。

 ➇まとめ
 最初に戻りまして「人生で大切なことは?」です。
 比較優位を学ぶと、得意を生かしたり、助け合ったり、競争より協調の方がいいということが分かります。
 これを経済学の言葉で「分業」「特化」などと言います。
 私が言いたいことは「人生で大切なことは助け合い」でした。

 ボリュームも時間も内容も完璧だったと思います。
 反応も完璧。100分飽きることなくちゃんとついて来てくれました!
 日本語でこの内容を教えるのはかなり困難かと思いましたが、案外いけるもんですね!
 さすが3年生です。

日本経済

 記念すべき10回目の日本経済の授業です。
 前回はかなり難しい内容となってしまいましたんで、今回は興味を引けるような内容を選びました。

 結果としてはかなり盛り上がりました。
 特に「共有地の悲劇」「コブラ効果」です。

 これには人々の心理が影響してくるので、より身近な出来事に感じられるかと思います。

 今回の授業の流れは説明するのがかなり難しいです。
 とりあえず箇条書きでメモしておきます。

 ➀ゴキブリの話
 自分の部屋にゴキブリがいるのと、教室にいるのとではどっちが気持ち悪い?
 ⇒なぜ自分の部屋にいるゴキブリのほうが気持ち悪いのか、理由を考える。

 ➁車の良い所と悪い所を挙げさせる。
 教室を半分に分けて、それぞれ良い所と悪い所を考えてもらいます。
 黒板を2つに分けて、思いついたものをとにかく自由に書き出させます。

 ➂その中から経済にとって良い影響があるのを「外部経済」、そうでないのを「外部不経済」で区別する。
  例えば「渋滞」や「公害」などは車の代表的な外部不経済。

 ➃共有地の悲劇
 パワポを使って順序良く説明します。
 「自分の利益ばかり考えるとみんなが損する。

 ➄じゃあどうする?
 共有地の悲劇を回避するため、じゃあどうすればいいのかと問いかける。
 ルールを作ることが重要。

 ➅教室の掃除当番
 教室には掃除当番がありますので、それを例にとる。
 掃除当番がなければ教室を掃除する人はいなくなるため、共有地の悲劇になりやすい。

 ➆ゴキブリの話Ⅱ
 最初に戻ります。
 自分の部屋にゴキブリがいる方が嫌な理由はまさにそこが「私有地」だから。
 教室にいるゴキブリも気持ち悪いと思いますが、嫌なら別の教室にいけばいいし、離れればいい。
 つまり共有地である教室では外部不経済に対して無関心になりやすいことを表しています。

 このように身近な例で説明すると分かりやすいと思います。

 コブラ効果
 思いつきでコブラ効果も教えました。
 共有地の悲劇や外部不経済とは直接的関係はありませんが、「自分の利益ばかり考えるとみんなが損する。」という状況に一致したためです。

 ➈まとめ
 外部不経済には課税を、外部経済には補助金の支給を。
 近年の大気汚染や水質汚染などについても考えてみる。

 
 説明できないくらい複雑な流れでした。
 複雑であればあるほど授業の再現性が低くなるのであんまり良くないですよね。
 もっと単純化できればいいなあと思うんですが、興味を集められれば合格点と言えますね!

 以上、10回目の日本経済でした。

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