スピーチと弁論

 ディベートの授業です。
 1年前の内容は【第6課】優先すべきは経済成長か環境保護かに、今年の内容はここにまとめます。
 テーマは同じなので、教案のところには「②」としてまとめておきます。

 テーマは「優先すべきは経済成長か環境保護か
 今年はどんな意見が出るか楽しみです。

 【経済成長優先派】
 ・中国の政策では経済を優先している。
 ・経済が良いからこそ環境(国)を守れる。
 ・他国にいじめられないため経済成長は優先すべき
 ・シリアは戦争でボロボロだ(?)
 ・経済発展する前に環境保護を優先した国は歴史上ない
 ・経済発展の中で環境保護の意識が生まれるのではないか

 赤字の部分は妙に納得しました。確かに言われてみるとそうですね。

 【環境保護優先派】
 ・心身に良い
 ・自然や環境保護に努めると観光業などの第三次産業を発展させられる
 ・資源がないと発展はできない。持続可能な発展のためには環境保護が必要だ。
 ・高品質な生活(生活水準が高くなる)

 
 討論の途中、今の中国は第二次産業、第三次産業どっちがGDP比率が高いかが争点となりました。一瞬ですが…。
 第二次だという人も第三次だという人もいましたが、ここではあえて答えを教えずに流れに任せました。ちなみに中国は大体2008年くらいに第三次産業のGDP比率が第二次産業を上回っています。
 この時ペティ=クラークの法則を誰か一人でも知ってる人がいれば、いっきに優勢になっていたかもしれませんね。

 そしてもう一つ、経済発展が優先だとするある学生が「人々の健康を害するのではないか」と質問されたときに驚愕の切り返しをしていました。

 「人の健康は資源だ

 ようするに、人々の健康を犠牲にして経済は発展するものだということを言いたいようです。
 シュレーディンガー著書の『生命とは何か』にある有名な言葉「負のエントロピーを食べて生きている」に通ずるものがありますね。

 はっきり言って学生はそこまで言ってませんが、私の脳内ではちょっとした興奮状態。
 人も経済もエントロピーが極大になるのを回避するために、負のエントロピーを食べている。
 これには本当に感動させられました。

 
 相変わらず討論の授業は面白いです。

スピーチと弁論

 テーマは「デスノートの夜神月に賛成?反対?
 日本の有名な漫画と関連したテーマならもっと興味を持ってくれるかなと思ってます。

 簡単にあらすじを言うと、夜神月は名前を書いたらその人が死ぬというデスノートを利用して世界中の犯罪者を次々殺していき、犯罪の無い理想の社会を作ろうとします。

 見どころは夜神月とLの頭脳戦ではありますが、今回はここではなく、夜神月の考え方ややり方に着目して争点とします。

 作中でも述べられているように、犯罪者が突然心臓麻痺によって死ぬことが続いたために結果デスノートは犯罪抑止に役立ち、実際犯罪率は大きく減少しました。
 しかしながら新世界の神となるために、自分の障害となる犯罪を犯していない人まで容赦なく手にかけていた側面もあります。

 月もそうしたように手段は問わず、情状酌量の余地がない犯罪者に限って処刑していったほうがいいと思えば賛成。
 犯罪の無い社会は確かに理想だが、夜神月のやり方・考え方にはちょっと理解しかねると思えば反対です。

 
 映画を見ると見ないではディベートの深さが変わってくると思うので、一度「デスノート」と「デスノート the Last name」の2部は最低限見ておきたいところ。

 よろしくないけど中国のインターネットでは日本の映画がごろごろあるので、来週までに鑑賞しておくのが宿題!としてもいいかな…。

 これは来学期の授業でやる予定です。

スピーチと弁論

 第15回目、最後のディベートの授業です。
 最後ということで今日はとびっきり難しいテーマを用意しました。
 その内容がこちらです。

 ジュリエッタの兄は,大地震の後5日目に,ビルの地下から救出される。
 もともと持病のあった兄は衰弱しきっていたが,病院は治療を待つ人にあふれ,治療を受けることができない。
 1ヶ月後,ジュリエッタは容体が悪化した兄を病院に運び,何百人もの長蛇の列をつくっている人々をすり抜け,とっさに嘘をつく。
 「兄は35日ぶりに今日,がれきの下から救われたのです。どうかお助けください」
 ジュリエッタの訴えを聞いた医者はこの奇跡に驚き,誰よりも先に兄の治療に取りかかった。
 おかげで兄の容体は快復し,「奇跡の生還」としてニュースになるが,ジュリエッタは病院から姿を消し,行方不明になる。

 出典はこちらの論文です。
 生徒が主体的に「考え,議論する」道徳科の実践的研究 ~モラルジレンマ授業を通して~

 テーマはずばり「ジュリエッタ(弟)の行動に賛成か、反対か
 自分の道徳観に照らして分かれてもらいました。

 20名いたのですが、反対は6名しかいませんでした。
 今回の討論では白熱の度合いがまた違い、内容が内容なのでいつもより真剣に取り組む様子がよく見えました。
 価値観の違いから意見が正面衝突し、今までのディベートとは異なるタイプの反論が飛び交います。
 本来討論とはこういうテーマでやるべきなんだなと感じました。

 
 ではそれぞれの意見を紹介します。

 【弟の行動に賛成派】
 ・この世は公平・公正ではない。
 ・チャンスがあれば、それを使うべきだ。
 ・誰を救うかは医者の自由であり、医者によって選ばれる。
 ・家族の愛だから当然だ。
 ・治療するかどうかは医者の判断だから、今回の弟の行動は関係ない。
 ・自分の弟や家族が死ぬことは誰にとっても望ましいことではない。
 ・両親と他人、普通どちらを助けるのか。
 ・法律上家族を助ける義務がある。(?)
 ・家族の命の前に理性など存在しない。
 ・他人と家族は一切関係がなく、チャンスというものは勝ち取るものである。
 ・集団の利益より個人の利益。
 ・命は誰しも1つしかない。
 ・中国では権力のある人が強く、例えばそういう人は病院でも並ぶ必要はなくなる。
 ・弟の発言は、それは権利であり権力である。

 【反対派】
 ・生命は公正でなければならない。
 ・他人が嫌だと思うことをしてはいけない。
 ・他人が嘘をついたことによって自分の家族が助けられなかったとき、あなたはどう思うのか。
 ・一人利己的な人がいるだけで秩序は崩壊し、皆利己的になってしまう。
 ・弟が死ぬことは当然嫌だが、社会にはルールがあり、それは誰しも守らなければならない。
 ・弟の行為は他人の命を犠牲にしている。
 ・多数の最大幸福こそ、法律・道徳の基礎である。
 ・このようなことをしたら、兄は今後生きていく中で恥ずかしいと思うかもしれない。
 ・人々は弟の行動を決して褒めない。
 ・お兄さんの考え方を尊重するべき。

 
 この問題はモラルジレンマと呼ばれているようです。
 その人の道徳観を問いますので、もともと正解というものは存在しません。
 最後に持ってきたテーマとしてはかなり良かったと思います。

 また、学生達も最後ということで気合入れて頑張ってくれました。
 来年の授業にも期待です。ありがとうございました。