平成29年度, 日本語教育能力検定試験

問1 新旧レトリックアプローチ

 選択肢1
 新旧レトリックアプローチ(Current-Traditional Rhetoric Approach)とは、談話や文体にあるパターン、段落の構造や機能などの文章構造を重視した作文指導法です。

 選択肢2
 ナチュラル・アプローチとは、成人のための外国語教授法で、聴解を優先していることが特徴の教授法です。学習者が自然に話し出すまでは発話を強制せず、誤りがあっても不安を抱かせないために直接訂正しません。発話が行われるまでの間は聴解練習のみ行われます。作文指導法ではありません。

 選択肢3
 制限作文アプローチとは、特定の文型や表現を使わせて書かせる作文指導法です。

 選択肢4
 プロセス・アプローチとは、作文を仕上げていくそのプロセスを重視した作文指導法です。推敲・修正の繰り返しによって新しい発見をし、文章を再構築していくという考え方に基づき、教師は学習者のサポートを担います。

 したがって答えは1です。

 

問2 ライティングプロセスの認知モデル

 Flower and Hayes(1981)が提唱したライティングプロセスの認知モデル(ライティングの認知プロセスモデル)では、「計画」「文章化」「推敲」の3つの段階によってライティングが行われるとしています。また、それぞれの段階で、その過程が適切に行われているかを書き手がモニターする仕組みがあり、モニターには長期記憶とワーキングメモリが関係しています。長期記憶から必要な情報を取り出して書いたり、モニターに役立てたりします。ワーキングメモリにはこれまでに書き上げた内容が記憶されています。

 1 各段階は一つずつ進めるわけではなく、行き来します。
 2 書くために必要な知識は長期記憶から得ます。
 3 書くために必要な知識は長期記憶から得ます。
 4 ライティングプロセスはモニターされています。

 したがって答えは4です。

 

問3 熟達した書き手と未熟な書き手の違い

 1 正しいです。
 2 正しいです。
 3 正しいです。
 4 熟達した書き手は、構想の時間が長めになります。

 したがって答えは4です。

 

問4 ライティングプロセスを考慮した指導の方法

 文章中に、熟達した書き手と未熟な書き手の違いに関する研究結果がライティングプロセスを考慮した指導方法に反映されたとあります。熟達した書き手と未熟な書き手の違いは問3にて答えが出ています。それは「熟達した書き手は、構想の段階が長い」ことです。これを踏まえると「時間をかけて書かせると良い」ということになります。選択肢3の「十分時間をかけて」がこれにあたります。

 したがって答えは3です。

 

問5 ピア推敲

 ピア推敲は以下の手順で行われます。

1.まず、相手の書いた文章を読んで、いいと思うところを確認し、書き手の主張やその根拠などを理解します。
2.それから、お互いに次のことを話し合います。
①いいと思うところを言う。
②もっと説明してほしいところを言う。
③直したほうがいいところを言う。
④書き手が相談したいことを聞く。
3.話し合いが終わったら、その内容をもとに、書きなおします。
 - 国際交流基金 – 日本語教育通信 日本語の教え方 イロハ 第11回より引用

 1 学習者のレベルが低いと、上記の手順がうまくできない場合があります。
 2 正しいです。
 3 正しいです。
 4 正しいです。

 したがって答えは1です。

平成29年度, 日本語教育能力検定試験

 ジョハリの窓とは、自己開示について客観的に捉えるために提案された考え方で、自分が知っているかどうか、他人に知られているかどうかで4つの枠組みに分かれます。

オープンな部分 自分も他人も知っている部分。自己開示している部分。
隠れた部分 自分は知っていて、他人は知らない部分。
盲目な部分 自分は知らないが、他人が知っている部分。
未知の部分 自分も他人も知らない部分。無限にあると捉えられている。

 

問1 自己開示

 1 正しいです。
 2 非言語コミュニケーションでは自己開示できません。
 3 その他の目的のために行われることもあります。
 4 男女によって自己開示の方法や度合いは異なります。

 ノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは、言語を使用しないコミュニケーションのことです。その研究分野から以下の3つに分けられます。

身体動作学 身振り、手ぶり、表情、アイコンタクトなどの身体動作に着目した研究。
近接空間学 相手との距離の取り方に着目した研究。
パラ言語学
(周辺言語)
イントネーション、リズム、ポーズ、声質(声の大きさ、高さ、速さ、声色)など。フィラーも含まれます。

 したがって答えは1です。

 

問2 日本国内の留学生総数と外国人労働者数

 留学生総数は239,287人、外国人労働者数は1,083,769人です。
 したがって答えは1です。

 参考:平成28年度外国人留学生在籍状況調査結果 – JASSO
 参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成28年10月末現在) |報道発表資料|厚生労働省

  

問3 エポケー

 エポケーとは、判断を留保することです。
 したがって答えは3です。

 選択肢2は自文化中心主義です。

 

問4 ジョハリの窓

 1 オープンな部分が大きい人は、積極的になります。
 2 周囲に疎いために、盲目な部分が大きくなります。
 3 隠れた部分は大きい人は、コミュニケーションが取りにくくなります。
 4 感受性が低いために未知の部分が大きくなります。

 したがって答えは2です。

 

問5 自己開示の度合いが増すことによって起きる窓の大きさの変化

 1 自己開示によってオープンな部分は大きくなり、その他の部分は小さくなります。
 2 自己開示によって隠れた部分は小さくなります。
 3 自己開示によってオープンな部分は大きくなり、隠れた部分は小さくなります。
 4 自己開示によって隠れた部分は小さくなり、盲目な部分も小さくなります。

 したがって答えは3です。

平成29年度, 日本語教育能力検定試験

問1 丁寧体と普通体の違い

 丁寧体は、聞き手や読み手への敬意を表わす文体です。「です/ます」
 普通体は、友達や家族と普通に話すときに用いる文体です。「ダ体/デアル体」

 1 「いらっしゃる」は尊敬語、「どちら」は丁寧体です。
 2 「ありがとうございます」は丁寧体、「ありがとう」は普通体です。
 3 「召し上がる」は尊敬語、「ですか」は普通体です。
 4 いずれも丁寧体です。

 ここでは丁寧体と普通体の違いを聞いています。
 したがって答えは2です。

 

問2 丁寧すぎて相手に違和感を与える表現

 1 お客さんに対する表現として適切です。
 2 初対面の人に対する表現として適切です。
 3 取引先の人に対する表現として適切です。
 4 親しいクラスメートに言うには不適切な表現です。「ペンを貸して」などと普通体を使うべきです。

 したがって答えは4です。

 

問3 スタイルの使い分け

 ここでいう「スピーチスタイルの使い分け」とは、普通体と丁寧体の使い分けのことです。

 1 性差による表現の違いを学べます。
 2 ディベートにおける表現を学べます。
 3 尊敬語や謙譲語を学べます。
 4 普通体と丁寧体の違いが学べます。

 したがって答えは4です。

 

問4 待遇表現の指導

 待遇表現とは、円滑なコミュニケーションのため、人間関係やその場の状況や雰囲気を考慮することで変化した表現のことです。

 1 目上の人に「できますか?」のような表現は失礼にあたります。
 2 ウチである親族に対しては、年上であっても敬語は使われません。
 3 自称詞「俺」「あたし」などは公式な場面では使えません。場面や人間関係によって変えるべきです。
 4 止めて欲しい時には「止めてくれませんか?」と依頼表現を使います。

 したがって答えは2です。

 

問5 ロールカードを作成する際の留意点

 ロールプレイで用いられるロールカードには状況や役割が書かれています。誤解しないように学習者の母語や媒介語で書かれる場合もあります。

 1 相手のセリフは書かれていません。
 2 指示文は母語で書かれる場合もあります。
 3 正しいです。
 4 ロールカードには文型や順番などを明記しません。

 したがって答えは3です。