日本語コラム

 もし学生に「は」と「が」の違いについて問われたらどうしましょ。
 学生から過去一度だけ質問されたことがあります。
 中級にもなればそういう疑問が湧いてきても不思議じゃないですね。

 この問題は論文にできるほどのテーマらしくて、私も全部が全部分かってるよって胸張って言えません…。
 語ったところで意味分かんないって顔されますきっと!

 だからこの質問のときはいつも最も基本的な違いだけ教えることにしてます。

 

「は」と「が」の違い

 「私は医者です。」と「私が医者です。」
 前者は「医者」を、後者は「」を強調しています。

 強調というとやや語弊がある気もしますが、話したいこと、伝えたいことの中心がまさにその部分です。

 「は」はその後にくる言葉、「が」はその前にくる言葉に注意しましょう。

 例えば自己紹介のとき。
 「私は佐藤です。趣味はギターです。」と「私が佐藤です。趣味がギターです。」
 いったいどちらが正しいですか?

 前者は「佐藤」「ギター」を強調しています。
 後者は「」「趣味」を強調しています。

 自己紹介で最も重要な情報、伝えたい情報は「佐藤」と「ギター」ですね。
 ですからこの場合、「は」を使うのが正しいと言えます。

 先生は佐藤さんを探していますが、顔が分かりません。
 先生は大きい声で呼びかけます。

 「佐藤さんは誰ですか?」

 あなたが佐藤さんならどのように答えますか?

 ①「私は佐藤です!」
 ②「私が佐藤です!」

 この場合の最も重要な情報、先生の知りたい情報とは何でしょう。
 それは「佐藤」です。「私」ではありません。
 ですから「佐藤」を強調して言う「私が佐藤です!」が正しいと言えます。答えは②です。

 

まとめ

 「は」はその後を強調、「が」はその前を強調します。

 品詞が違うとか主語がどうたらとかいちいち説明しても学生はちんぷんかんぷん。
 興味があれば教えればいいと思いますが、会話の上達を目標とするならこのくらいの知識があれば十分ですね。

 

日本語コラム

 「趣味は何ですか?」

 初めましての自己紹介をするなら100人中99人は言う言葉です。
 この質問に対して皆さんはどう答えますか? ちょっと考えてみてください。

 ( ´∀`) 私の趣味はバスケットボールです!
 (o´・ω・) 私の趣味は読書です!
 ( ^ω^) 私の趣味は走るです!
 
 (#゚Д゚) (文法間違ってるよ! だけど止められない…)

 せっかくの自己紹介。
 みんなも興味津々で聞いていて、話すほうも緊張しながら皆どんな反応するかな?なんて気になってるはず。

 そんな人に向かって「その言い方間違ってるよ」って絶対言うことができないんです…。
 終わってすぐでも言えません。

 だから今このコラムを読んでくれている方々には、ぜひ正しい言い方を覚えてほしいなって思います。

 じゃあ何がダメだったんでしょう。
 実は「私の趣味は走るです。」の「走る」。これがダメです。

 理由を説明するためには述語と動詞の名詞化について説明しなければいけません。

 

述語

 文末にくる部分を「述語」と言います。日本語ではこの種類によって大きく3つに分けられます。

 ①動詞述語文
 述語が動詞になっているもので「主語+動詞」で構成されます。主語は名詞です。
 ・私はご飯を食べる。
 ・母は料理を作る。
 ・みんなでゴミを拾う。

 ②形容詞述語文
 述語が形容詞/形容動詞になっているもので「主語+形容詞」で構成されます。主語は名詞です。
 ・あの子は可愛い。
 ・太陽が眩しい。
 ・この授業はつまらない。

 ③名詞述語文
 述語が名詞になっているもので「主語+名詞(+判定詞)」で構成されます。主語は名詞です。
 ※判定詞とは「です」「でした」「だ」「だった」などのこと。
 ・私は佐藤です。
 ・父は弁護士です。
 ・時間は宝物です。
 ・趣味は読書です。

 
 私の趣味はバスケットボールです。
 この文は名詞述語文の構造です。
 「私の趣味」と「バスケットボール」はどちらも名詞ですから、主語+名詞の形ですね。
 「私の趣味は読書です。」も同じです。

 しかし…
 私の趣味は走るです。
 これは「走る」と「です」が正しく接続されていません。
 中国語で言えば「我的爱好跑过去」って感じ。「是」がないんです!

 判定詞の前は名詞修飾形がこなければいけません。しかし動詞辞書形の「走る」は名詞に接続できません。
 動詞述語文と名詞述語文の要素が混在してるから変だと感じてしまうんですね。

 というわけで動詞の名詞化についても勉強しましょう。

 

動詞の名詞化

 動詞の名詞化は2種類あります。

 ①動詞辞書形+の
 ・私は走るのが好きです。
 ・泳ぐのが得意です。
 ・食べるのは私の生き甲斐です。

 ②動詞辞書形+こと
 ・私は走ることが好きです。
 ・泳ぐことが得意です。
 ・食べることは私の生き甲斐です。

 
 「~の」も「~こと」も動詞を名詞化する役割があります。意味はどちらも同じです。例えば…

 走るの = 走ること = ジョギング
 寝るの = 寝ること = 睡眠
 本を読むの = 本を読むこと = 読書

 これらは全部名詞です。

 
 
 じゃあ最初の問題に戻りましょう。

 私の趣味は走るです。
 この文の何が悪かったんでしたっけ?

 そうです! 「走る」が名詞修飾形じゃないからですね!
 じゃあどう言えばいいですか?

 私の趣味は走ることです!

 これが正しい言い方でした!

 
 ちなみに「私の趣味は走るのです。」だと思った人は、ごめんなさい、間違いなんです。
 

「~の」と「~こと」の違い

 「~の」は述語に使えません。主語にだけ使えます。そして口語的です。
 ✖私の趣味は走るのです。
 ◯私の趣味は走ることです。
 ◯走るのは私の趣味です。
 ◯走ることは私の趣味です。

 でも「~こと」は主語も述語もOK!
 ◯好きなことは野菜を食べることです。
 ◯生きることは食べること。
 ◯食べることは殺すこと。

 
 みなさんの自己紹介、間違わないように祈ってます。

日本語コラム

 日本語と中国語で反対の言い方をする言葉って結構ありますよね。
 意味が反対というわけではなく、語順が反対という意味です。

 今日「左耳进,右耳出」という中国語を初めて見ました。
 字から見て分かる通り、左耳から入って右耳から出ていく。つまり「右から左」です。

 あれ?

 中国語だと左から入るのに、日本語だと右から入ってますね…。
 こういうのって面白くて大好きです!

 もう一つ紹介すると、日本語には「死生観」という言葉があります。
 宗教的で哲学的なので意味は説明できませんので割愛します。

 これは中国語では「生死観」。
 生と死の順序が逆です!

 いろんなサイトでの考察を読みました。
 他の言葉と同様に単に逆になっているだけという意見もあれば、重要視するほうが先に来ている文化的側面もあるとかないとか。

 同じ漢字文化圏なのに不思議な違いです。