日本語コラム

 以前告白の日本語について教えたことがありました。

(人´∀`) 告白するとき、日本語でどう言うか知ってる?
(*´・д・) 知ってます! 私はあなたが好きです!
(人´∀`) そうそう、よく知ってるねー
 
(*゚Д゚) (…ん? 普通”私はあなたのことが好き”って言うよな…)

 我喜欢你、我爱你、我想你…
 普通に訳せば「あなたが好き」ですけど、実際告白の場面では「あなたのことが好き」と言います。
 この「こと」って必要? どんな意味? 調べてみたら4つの説がありました。


 

①距離感を表す

 「こと」は距離感が近くならないようにしている

  (1)客観的見て、君は私たちのことをどう思う?
  (2)私は彼らのことは全然知らない。

 (1)は君と私たちが異なるグループなので、「こと」を使ってその距離が離れていることを表しています。(2)も同じです。
 同じグループでも客観的に見る場合は距離感を表したりします。

 

②曖昧な表現

 「私はあなたが好きです。」は直接的に聞こえるので、「こと」を加えてやや曖昧にしている
 
  (3)最近仕事のほうはどうですか?
  (4)空いたお皿のほうをお下げしてもよろしいでしょうか?
  (5)試験を受けてみた感じ、合格したかなと思う。

 「ほう」や「かな」は物事を曖昧にする表現であり、「こと」もこのような役割があるのでは?という説です。
 私も最初そう思いました。
 

③強調

 「あなたのことが好きです」の方が「あなた」を強調している感じがする。
 「他の人ではなくあなたが好きです」のような排他的なニュアンスを生み出す。

  (6)あなたのことが好きです。
  (7)私のことが好き?

 もし学生に簡単に説明しなければならないとすればこれは単純明快です。
 しかし排他的表現は格助詞「が」が担っているとするのが一般的なので個人的に間違ってる感じがしますけどね…。

 ちなみに格助詞「が」は、それより前の部分を強調し排他的ニュアンスを加えます。
  (8)私が佐藤です。(他の誰でもなく)
  (9)あの人が盗みました! (他の誰でもなく)

 

④対象の関連を表す

  (10)先生は私の作文のことを褒めてくれました。
  (11)政治のことはあまり詳しくない。

 この「のこと」は「~について」に言い換えることができます。「~について」は対象の関連を表わす文法です。
 たとえば(10)では、「こと」を加えることで「私の作文」それ自体だけではなく、それ以外のいろいろな部分(内容、書き方、字の美しさ、表現方法、文法など)も含めて総合的に褒めています。

  (12)あなたが好き。
  (13)あなたのことが好き。

 「あなたが好き」は人格や容姿を指しているのに対し、「あなたのことが好き」では人格や容姿も含め、今まで過ごしてきた時間や関係性も全て含めて総合的に好きという意味です。

 

まとめ

 個人的には④対象の関連を表すが最も有力だと思います。
 学生に教えるときは「~について」と一緒に教えると分かりやすいですね。

 よく分からない人はあまり深く考えないで、おまじないだと思って「こと」をつけましょう!

日本語コラム

(人´∀`) 最近温かくなってきたね~
(*´・д・) そうですね!
(人´∀`) 春の匂いがするね
(´・ω・`) …春の「香り」じゃないですか?
 
(*゚Д゚) えっ…?

 嗅覚に関連する表現は大きく「匂い」「臭い」「香り」の3種類あります。
 おまけに「ニオイ」もですね。

 学生とこんな会話してから調べてみました。
 それぞれちょっとずつ違いますから私と一緒に覚えましょう!

匂い(におい)

 匂い(におい)は名詞です。元々は動詞「匂う(におう)」で、連用形の名詞化したものです。

 この言葉自体には良い意味も悪い意味もなく、最も一般的な表現。
 しかし不快なものには使わず、良いものに対して使う
 嗅覚だけでなく、雰囲気にも使える。

 ・花の匂い
 ・カレーの匂い
 ・春の匂い
 

臭い(におい)

 臭い(におい)は名詞です。元々は動詞「臭う(におう)」で、連用形の名詞化したものです。
 表記は同じですが、臭い(くさい)と読めば形容詞になります。

 「臭い」はゴミ、トイレなどの悪臭・異臭一般的に不快だと思うものに対して使う
 良くない雰囲気にも使えます。

 ・化学物質の臭い
 ・トイレの臭い
 ・犯罪の臭い

 カタカナで「ニオイ」と書く場合もありますが、これは「臭い」と同じで不快なものに対してよく使われます。

 ・トイレのニオイ
 ・汗のニオイ
 ・足のニオイ

 

香り(かおり)

 香り(かおり)は名詞です。元々は動詞「香る(かおる)」で、連用形の名詞化したものです。
 匂いと同じく良いものに対してだけ使う。
 ただし、「匂い」よりも高級感、上品な美しさ、またはそのような雰囲気を付属して表します。

 ・香水の香り
 ・ハーブの香り
 ・春の香り

 「シャンプーの匂い」と「シャンプーの香り」
 どちらも良い匂いであることは間違いありませんが、「シャンプーの香り」はそれに加えて上品な感じがあります。
 匂いよりも香りのほうがその良さを強調できます。

 

言い方は主観的な判断で変わる!

 「匂い」「臭い」「香り」のどれを使うかは、話者がどう思っているかで変わります。

 例えば犬のにおいを良いと思っていれば「犬の匂い」、
 悪いと思っていれば「犬の臭い/犬のニオイ」になります。

 ①餃子を食べた後は口の中のニンニクの臭いが気になる。
 ②ニンニクは切ったりして空気に触れると、美味しそうな匂いを出します。

 ①は食事後の口臭を気にしています。ですから臭い/ニオイを使うことが多いです。
 ②は料理の話題です。美味しそうという言葉に呼応して、良い意味の「匂い」を使います。

 

練習問題

 (    )の中に、「匂い」「臭い」「香り」のうち最も適切な言葉を入れなさい。

 ①靴下を脱いだ時の足の(    )が気になっている。
 ②ワインは飲む前にまず(    )から楽しもう。
 ③クッキーが焼ける美味しそうな(    )。
 ④部屋中にガスの(    )が充満している。
 ⑤彼女の部屋はふんわり良い(    )がしている。
 ⑥キッチンから焦げ臭い(    )がする。

 

まとめ

良いものには「匂い」。
良いもの+高級感があるものには「香り」。
悪いものには「臭い/ニオイ」。

 意外と簡単でしたね!

 答え
 ①臭い/ニオイ
 ②香り
 ③匂い(香り)
 ④臭い/ニオイ
 ⑤香り
 ⑥臭い/ニオイ

 

日本語コラム

 もし学生に「は」と「が」の違いについて問われたらどうしましょ。
 学生から過去一度だけ質問されたことがあります。
 中級にもなればそういう疑問が湧いてきても不思議じゃないですね。

 この問題は論文にできるほどのテーマらしくて、私も全部が全部分かってるよって胸張って言えません…。
 語ったところで意味分かんないって顔されますきっと!

 だからこの質問のときはいつも最も基本的な違いだけ教えることにしてます。

 

「は」と「が」の違い

 「私は医者です。」と「私が医者です。」
 前者は「医者」を、後者は「」を強調しています。

 強調というとやや語弊がある気もしますが、話したいこと、伝えたいことの中心がまさにその部分です。

 「は」はその後にくる言葉、「が」はその前にくる言葉に注意しましょう。

 例えば自己紹介のとき。
 「私は佐藤です。趣味はギターです。」と「私が佐藤です。趣味がギターです。」
 いったいどちらが正しいですか?

 前者は「佐藤」「ギター」を強調しています。
 後者は「」「趣味」を強調しています。

 自己紹介で最も重要な情報、伝えたい情報は「佐藤」と「ギター」ですね。
 ですからこの場合、「は」を使うのが正しいと言えます。

 先生は佐藤さんを探していますが、顔が分かりません。
 先生は大きい声で呼びかけます。

 「佐藤さんは誰ですか?」

 あなたが佐藤さんならどのように答えますか?

 ①「私は佐藤です!」
 ②「私が佐藤です!」

 この場合の最も重要な情報、先生の知りたい情報とは何でしょう。
 それは「佐藤」です。「私」ではありません。
 ですから「佐藤」を強調して言う「私が佐藤です!」が正しいと言えます。答えは②です。

 

まとめ

 「は」はその後を強調、「が」はその前を強調します。

 品詞が違うとか主語がどうたらとかいちいち説明しても学生はちんぷんかんぷん。
 興味があれば教えればいいと思いますが、会話の上達を目標とするならこのくらいの知識があれば十分ですね。