日本語コラム

 学生の細かな間違いを分かるからと言って訂正しないで放っておくと、その言い方が自分の中にもだんだん馴染んできて、何が間違いで何が正しいのか分からなくなってくるなんてことは少なくありません。
 私の中のその最たるものは「私の数学は上手です。」です。

 まずこの場合上手ではなく得意を使うことは「【第45回】「得意」と「上手」の違い」で述べているので見てみてください。

 ここで触れたいのはその文型です。

 

「私の数学は上手です」は間違った言い方

 中国語では「我的数学不好」というような言い方があるため、このまま直訳した結果このような日本語となっています。
 これは数学のみならず、全ての科目に共通して言えることです。

 はっきり言って間違いです。もう使わないでください。
 絶対にこんな言い方はしません。私も中国に行くまで一度も聞いたことがない日本語でした。

  (1)✕私の数学は上手です。
  (2)✕私の歴史は得意です。

 助詞「の」は修飾と所有の2つの意味を持ちます。
 「我的数学不好」の「的」は修飾としての意味になりますが、「私の数学」の「の」は所有を表しているような気もして変。

  

正しい言い方

  (3) 私数学得意です。
  (4) 私歴史得意です。

 普通の日本人はこう言います。いわゆるはが構文というやつです。
 特に自己紹介なんかで使う頻度が高いですから、これを読んでくれた方はもう間違えないでくださいね!

 

日本語コラム

 よく学生が間違える表現に得意上手があります。
 自分に対して「上手」と言うとなんか変な感じですから、ぜひ正しく使えるようになってください。

 

得意(とくい)

 得意とは何らかの技能が優れていて自信があることです。
 バスケやギター、日本語や料理などの身体的動作を伴うものでも良いですし、数学や歴史などの科目、聞くや見るなどの静的なものでも良いです。
 様々な技能に対して言うことができます。

  (1) 喋るより聞く方が得意なんです。
  (2) あんまりゲームは得意なほうじゃない。
  (3) 得意料理はカップ麺。

 他人に対して使うこともできますし、自分に対して使うこともできます。

  (4) 彼は謎のあだ名をつけることが得意です。
  (5) 私の家系は召喚術が得意
  (6) 英語よりフランス語の方が得意だった。

 得意の対義語は「苦手」。
 使い方は得意と同じですから分かりやすいですね。

 

上手(じょうず)

 上手とはある物事をする技術がすぐれていることです。
 サッカー、掃除、日本語、話す、聞くなど幅広く使えます。その技術の高さを評価して褒めるニュアンスがあります。

  (7) 車の運転が上手な男性はかっこよく見えちゃう。
  (8) イラストが上手でうらやましい。
  (9) 片付け上手な人は尊敬できる。

 上手は他人に対してのみ使うことができます。

  (10) やっぱり包丁使うの上手だね!
  (11) 世渡りが上手すぎる友達。
  (12)✕私は昔から運転が上手

 上手の対義語は「下手」です。
 下手は自分に対して使うこともできます。謙遜の意味が出てくるためです。

  (13) 私は相変わらず説明が下手
  (14) 自炊が下手すぎて情けない。

 

「得意」と「上手」の違い

 

 得意と苦手、下手は他人も自分にも使えます。でも上手は他人だけです。
 得意は自信があり、上手は褒める感じがあります。

 

不明点

 科目に対して「上手」を使うとなんだか変な感じがします。
 色々考えてみたんですが、多分身体的動作がないものは上手を使うとダメなのかな?
 あるいは単なる例外的なものなのかもしれません。

  (15)✕彼は数学が上手です。
  (16) 彼は数学が得意です。

 ですから科目の時は「得意」か「苦手」を使ってください!

 

日本語コラム

 病気になったって中国語では「病了」「生病了」と言うんですが、日本語よりも使用頻度があまりにも多いので長く疑問に思っていました。
 例えば学生が授業を休んだりして理由を聞くと”她生病了”。
 疑いはしませんが、絶対大丈夫?って聞いちゃいますよね…。

日本語の「病気」の意味

 辞書から抜粋すると「生体がその形態や生理・精神機能に障害を起こし、苦痛や不快感を伴い、健康な日常生活を営めない状態。医療の対象。疾病 。」
 要するにそのほとんどが治療が必要であることが多く、普通は病院に行く程度のものを指します。

 以下はtwitterのリアルタイム検索でヒットしたものです。

  (1) ○○先生は病気療養のため休載していた。
  (2) 足普通に病気で運動制限くらった。
  (3) 依存症という病気の治療は薬などを使わないほうがいい。

 このように、日本語の「病気」はいったんそうなったら病院に行ったり治療が必要になります。
 症状は相当程度重いことが多いです。
 

中国語の「生病」の意味

 学生に確認してみました。
 「生病了」「病了」は風邪でも発熱でも使うことができます。感冒や发烧と個別の言い方もありますが、こっちでもいいということですね。
 ただし心臓病などの場合は「心脏有病」のような言い方がありますから、どちらかというと重篤ではない時に使えるのだと思います。

 

「病気になった」の使い方

 日本語の「病気になった」は、単なる風邪や発熱の時には使えません。
 病気というと医者に診てもらわないといけない程度を想像しますから、間違って使うと過度に心配されるかもしれません。

 風邪の時は「風邪を引いた」、熱が出たら「熱がある」「熱が出た」と言いましょう。
 あるいは「具合が悪い/体調が悪い」という言い方も汎用的です。

 
 今まで心配しまくってました。
 違いはわずかですが、こういう話題の時は齟齬を生じないように気を付けたいものです。