日本語コラム

 日本語を学び始めて1ヶ月の1年生からこんな質問を受けました。

(*´・д・) 先生、「五階教室」と「五階の教室」どっちが正しいですか?
(人´∀`) 「五階の教室」だよ。
(*´・д・) じゃあ「日本語科一年」はどうですか?
(人´∀`) それは良いよ。問題ないね。
(*´・д・) 「日本語科の一年」も大丈夫ですよね?
(人´∀`) …うん、大丈夫。
(*´・д・) えっ、じゃあ「の」が必要なときと必要じゃないときって何が違うの?
 
(*゚Д゚) …

 「五階教室」は間違いで、正しくは「五階の教室」です。
 一方「日本語科の一年」は正しいですが、「日本語科一年」でも間違いではありません。

 格助詞の「の」って、どんな時に省略できるのでしょうか。
 こんなに身近な問題を考えたこともなかったし、それに対してすぐ答えられなかったのがすごく悔やまれます…。

 というわけで調べてみました。
 ※ここでは格助詞「の」の「名詞+の+名詞」という形をとらない主格や体言の代用、同格の用法については述べません。これらは当然省略不可です。

 

 

「の」を省略できる3つのタイプ

所属を述べる時

  (1) 私は日本語科(の)一年です。
  (2) 〇〇大学(の)経済学部(の)3年
  (3) 株式会社〇〇(の)人事部(の)斎藤です。
  (4) 青森県警(の)巡査部長

 所属は「A大学のB学部の3年生の斎藤です。」のように上位から順に述べるため、「の」を複数回使わなければならないこともあります
 このように何度も「の」を使うとうるさく聞こえるので、一般的に全部あるいはいくつか省略されて言われることが多いようです。

 

地名を述べる時

  (5) 私たちはイタリア(の)ローマにやって来ました。
  (6) アメリカ(の)ニューヨークは、合衆国最初の首都が置かれた都市である。
  (7) 河北省(の)石家庄市の人口は1000万人を超えている。

 地名を述べるときも「の」は省略できます。
 「の」を省略して読み上げるときは、元々「の」があった場所で一呼吸置かれて読むことが多いです。

 

二つ以上の名詞が結び付いて一つの名詞となった場合

  (8) マラソン(の)大会に参加する。
  (9) 会議では反対(の)意見も重要。
  (10) 動画(の)再生(の)回数
  (11) 全自動(の)洗濯機
  (12) 頭皮(の)マッサージ

 二つ以上の名詞が結び付いて一つの名詞として認識されている場合は「の」を省略できます。
 このような場合は「の」を言わないのがより一般的です。

 一つの名詞として扱われるので、発音も個別に発音するときと変わるのが特徴です。
 頭皮(1)+マッサージ(4)= とうひまっさーじ(7)

 

「の」を省略できない2つのタイプ

「の」を含む形が元々一つの言い方として扱われている場合

  (13) 髪
  (14) トイレ花子さん
  (15) 鋼心臓
  (16) 眠り小五郎
  (17) 井蛙大海を知らず

 「の」を含みながらも省略できないのは、その言葉自体が既に一つの単語や諺、慣用句として定着しているためです。
 このような場合は絶対に省略できません。

 

連体修飾格の場合

  (18) 隣部屋
  (19) ゴミ箱
  (20) 五階教室
  (21) 友達携帯
  (22) 話流れ

 格助詞「の」にはもともと名詞と名詞の間に置かれてそれらの関係性を表したり、その言葉について詳しく説明したりする機能があります。
 この「の」を連体修飾格と呼び、この時は絶対に省略できません。
 
 

まとめ

  (23) 五階の教室
  (24)✕五階教室
  (25) 日本語科の一年
  (26) 日本語科一年

 「五階」と「教室」はお互いに異なる位置を指していて、この関係性を表すために「の」が必要です。
 一方「日本語科」と「一年」は所属に関する言い方なので「の」を省略することができます。

 まとめると…
 「の」をつけるべきかどうか迷った時はつけてください!
 それを言ったら終わりですが… その方が圧倒的に間違いが少なくなりますよ。

日本語コラム

「0」に関する言い方

携帯番号は「ゼロ」

 携帯番号を読み上げるときは「0」は「ゼロ」です。090を「れい きゅう れい」と読むのは聞いたことがありませんが、もしかしたらかなり少数派でいるかもしれません。
 なお、4は「よん」、7は「なな」、9は「きゅう」です。それぞれ別の言い方が用いられることはありません。
 携帯番号は3桁-4桁-4桁で構成されていますので、読み上げる時はその括りはひとまとまりとして読み、「-」で一呼吸置きます。

090-1234-5678
090  (ぜろ きゅう ぜろ)
1234 (いち にー さん よん)
5678 (ご ろく なな はち)

 

教室や部屋などは「マル」

 アパートやマンションの部屋、教室など、例えば「301号室」などと「0」が含まれる場合は「マル(丸)」と読みます。
 108号室は「いち まる はち ごうしつ」です。
 図形の丸と「0」の形が似ていることから、この読み方が使われるようになったと思われます。

 405号室 (よん まる ご ごうしつ)
 203教室 (にー まる さん きょうしつ)
 301の住人 (さん まる いち のじゅうにん)

 

小数点は「れい」

 少数の時の一の位は「れい」と読まれます。
 小数点以下の0は「れい」でも「ゼロ」でもどちらでも構いません。
 0が連続する場合は、「れい」を繰り返すケースが多いようです。

 0.34 (れい てん さん よん)
 0.005 (れい てん れい れい ご)
 2.03 (にー てん れい/ぜろ さん)

 

その他の「0」について

 時間は「0時(れいじ)」
 点数は「0点(れいてん/ぜろてん)」
 温度は「0度(れいど/ぜろど)」
 金額は「0円(ぜろえん)」
 回数は「0回(ぜろかい)」

 

物を2つずつ数えるときの言い方

大きく分けて3種類ある

 1つずつ数える方法だけではなく、2つずつ数える方法もあります。
 その場合は2、4、6、8、10と偶数で数え、10まで来るとまた2へ戻ります。
 この時の言い方が場所によって異なるのですが、日本では大きく分けて3種類あります。

 2  4  6  8  10
 にー しー ろー はー とー
 にー しー ろー やー とー
 にー しー ろー ぱー とー

 8の読み方が微妙に異なるだけで大体同じです。
 もし日本語学習者が使う場合は、上記の3つのうちいずれかを使うといいでしょう。
 最も使われているのは「にーしーろーはーとー」でした。(私調べ)

 その他もっとローカルな言い方もあるようです。

 2  4  6  8  10
 にー しー ろー はー じゅー
 にー しー ろく はの じゅー
 にー そー ろく はの とー
 にの しの ろの やの とう

 
 数字にまつわることについて2回に分けて書きました。
 以上です。

日本語コラム

 日本語の数字には学習者を悩ます理不尽なところが多くあります。
 実際数字に関係する内容を教えるときは細心の注意を払わないと混乱を招きますし、統一した言い方があればいいんですけどね…

 ということで数字に関係する言い方をざっと集めました。
 複数回に分けて紹介したいと思います。今回はその1回目です。

数える時の日本語

数え上げるとき(カウントアップ)

10
ぜろ いち さん よん
ろく なな
しち
はち きゅう
じゅう

 日本語で数え上げる時は特に注意することはありません。
 4は「よん」でも「し」でも構いませんし、7も9もどちらでも良いです。
 数え上げるときに通常0は言いませんが、もし言うとすれば「ゼロ」です。このとき「れい」は一般的に使われません。

 

カウントダウンのとき

10
じゅう きゅう はち なな ろく よん さん いち ぜろ

 カウントダウンでは使われる言い方が固定的です。
 9は必ず「きゅう」、7は「なな」、4は「よん」、0は「ぜろ」です。
 それぞれ「く」「しち」「し」「れい」を使うと明らかに間違いです。

 

個数を数えるとき

10
ひとつ ふたつ みっつ よっつ いつつ むっつ ななつ やっつ ここのつ とお
ぜろこ いっこ にこ さんこ よんこ ごこ ろっこ ななこ はっこ きゅうこ じゅっこ
じっこ

 何か物の個数を数える時は2種類の言い方があり、「~つ」と「~個」です。

 「~つ」は0がありません。そして1から10まで例外的な使われ方をします。よく学習者が覚えるのに苦労する部分です。
 11以上で「~つ」の言い方はありません。11以上の数を数えたい場合は「~個」を使います。

 「~個」は0があります。「れいこ」はあまり聞かず、通常「ぜろこ」と言います。
 「1個」「6個」と「8個」は発音が変わり促音が含まれますので注意が必要です。
 「~個」には数えられる限界がありません。

 

年齢を数えるとき

0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳 6歳 7歳 8歳 9歳 10歳 20歳
ぜろさい
れいさい
いっさい にさい さんさい よんさい ごさい ろくさい ななさい はっさい きゅうさい じゅっさい はたち

 年齢の場合、特に注意するべきなのは「1歳」「8歳」「10歳」です。
 それぞれ発音が変わって促音が必要になります。
 20歳は「はたち」と呼ぶのが一般的です。ただし「にじゅっさい」でも間違いはありません。

 

カレンダーの読み方

 「~つ」と同じく1から10までは例外的な読み方をします。
 「14」「24」は「じゅうよっか」となります。「じゅうよんにち」「じゅうしにち」とは言いません。
 「19」「29」は「じゅうくにち」です。「じゅうきゅうにち」「じゅうここのか」は間違いです。
 年齢と同じく20日は「はつか」と呼びます。「にじゅうにち」というのは間違いです。