日本語コラム

 格助詞の用法についてまとめました。
 pdfもありますのでご自由にお使いください。
 →格助詞の用法一覧

 

目次

格助詞「が」の用法

述語の動作主/主語

 述語に対応する動作主、主語を表します。

  (1) 彼山田です。
  (2) 猫1匹いる。
  (3) 私の携帯どこに行ったか分かりますか。
  (4) 判定の結果、赤勝ちました。
  (5) 君やったんだろう?

 

述語の対象

 述語の対象を表します。
 このとき、文型は「~は~が~です(はが構文)」になります。

  (6) 私はロック好きです。 (好きなのはロック)
  (7) 山の頂上は景色綺麗です。 (綺麗なのは景色)
  (8) 私は毛虫嫌いです。 (嫌いなのは毛虫)
  (9) 話全然分かりません。 (分からないのは話)
  (10) 目の前真っ暗になった。 (真っ暗になったのは目の前)

 

格助詞「を」の用法

(他動詞の)動作の対象

 他動詞の動作の対象、すなわち目的語を表します。

  (11) 写真撮る。
  (12) 花見る。
  (13) 車修理する。
  (14) 羊飼う。
  (15) 料理作る。

 

出発点・起点

 出発点・起点を表します。
 元いた場所から離れるという意味で、卒業や退職などにも使うことができます。

  (16) もうすぐ家出ます。
  (17) 専門学校卒業する。
  (18) 会社辞めた。
  (19) 刑務所出る。
  (20) 彼は有名な大学出た。

 

通過点

 移動する際の通過点を表します。

  (21) あの丁字路左に曲がる。
  (22) スーパーは、銀行過ぎてすぐです。
  (23) ここから3つの交差点を直進して、突き当り右です。
  (24) 正門出て左のところで待っています。
  (25) あそこで折り返して、この道戻ろう。

 

経路

 多くは移動の経路を表しますが、(27)のような場合でも使えます。

  (26) いつもこの道通って出勤する。
  (27) 楽しい一日過ごした。
  (28) この道歩いて行く。
  (29) 下道行けば渋滞に巻き込まれないで済む。
  (30) 風が建物の中通る。

 

格助詞「に」の用法

物の受け取り手

 物の受け取り手を表します。
 プレゼントなどの目に見えるものだけではなく、(32)の感謝や(34)の経験、(35)の使い方など、目に見えないものでも使えます。

  (31) 友達プレゼントをあげた。
  (32) 先生日頃の感謝を伝える。
  (33) 彼女ペアのネックレスをあげる。
  (34) 先輩はその経験に基づいたアドバイスを私してくれた。
  (35) 母パソコンの使い方を教える。

 

物の移動の到着点

 物の移動先を表します。

  (36) 道ゴミを捨てる。
  (37) 壁絵を飾る。
  (38) 庭殺虫剤を撒く。
  (39) 天井蚊帳を吊るす。
  (40) 屋根アンテナを取り付ける。

 

動作の相手

 動作の対象を表します。

  (41) これから上司会う。
  (42) 友達殴りかかる。
  (43) 子供話しかけるときはかがんで目線を合わせよう。
  (44) 猫が私噛み付く。
  (45) 友人電話をかける。

 

移動の到着点

 移動に関する動作の到着点を表します。

  (46) 席座る。
  (47) 実家帰る。
  (48) タクシー乗る。
  (49) ステージあがる。
  (50) 空羽ばたいていく。

 

変化の結果

 多くは「になる」「にする」などの言い方をとり、状態変化の結果を表します。

  (51) 雪が雨変わった。
  (52) 子供を公務員したい。
  (53) 目が合うと石される。
  (54) 肉が焦げて真っ黒なった。
  (55) 12時なりました。

 

使役・受身文の動作主

 使役文では被使役者、受身文では行為者を表します。すなわち動作主です。
 使役文は「~は~に~させる」、受身文は「~は~に~される」の形をとります。

  (56) 私は先生褒められました。
  (57) 子供宿題をさせる。
  (58) 部下やらせる。
  (59) 子供部屋の掃除をさせた。
  (60) ここだと誰か話を聞かれるかもしれない。

 

基準

 基準を表します。

  (61) 私の家は駅近い。
  (62) 私は父似ていない。
  (63) 半年1回は健康診断をする。
  (64) 暗い場所での携帯は目悪い。
  (65) 健康良くない習慣はすぐに止めるべきだ。

 

存在する場所

 物や事柄が存在している場所を表します。

  (66) 空飛行機雲があります。
  (67) 私は妹がいる。
  (68) 奥歯何か物が詰まってるみたいだ。
  (69) 喉骨が刺さってる。
  (70) あのときのことは今でも記憶残っている。

 

時間

 時間を表す名詞につき、その時間を表します。

  (71) 明日朝8時出発する。
  (72) 10月初めて中国に来ました。
  (73) 6時半起きる。
  (74) 午後打ち合わせの予定があります。
  (75) 夜は戻るはずだ。

 

動作の目的

 動作の目的を表します。

  (76) 流れ星を見行く。
  (77) スマホはもっぱら連絡使う。
  (78) 美味しいものを食べ行こう。
  (79) ゴミを捨て行ってくる。
  (80) 映画を見行く。

 

原因・理由

 名詞につき、原因を表します。

  (81) お金困っている。
  (82) N1の難しさ驚いた。
  (83) 将来悩んでいる。
  (84) 自分の知識の無さがっかりした。
  (85) 恋愛すること疲れた。

 

格助詞「へ」の用法

動作の方向

 動作の方向を表します。
 「に」に言い換えることができます。

  (86) 国慶節に上海行った。
  (87) 恋人手紙を書く。
  (88) 指を鼻の穴入れる。
  (89) 機会があればぜひうちいらっしゃってください。
  (90) ボールを空投げる。

 

格助詞「から」の用法

範囲の起点

 範囲の起点を表します。

  (91) 会社から家まで1時間かかる。
  (92) 今日から出張です。
  (93) 序盤から隙のない指し回し。
  (94) あなたから順番に始めましょう。
  (95) 右耳から入って、左耳から出ていく。

 

材料

 物の材料を表します。

  (96) 醤油は大豆から作る。
  (97) 体の大半は水からできている。
  (98) 米から酒をつくる。
  (99) 味噌も大豆から作る。
  (100) ワインはぶどうから作る。

 

動作の出どころ

 動作の出どころを表します。

  (101) 彼から本を貸してもらった。
  (102) 私から一つ質問があります。
  (103) 友人から電話があった。
  (104) 窓から日が差し込む。
  (105) 遠くから聞こえてくる声。

 

受身文の動作主

 受身文の行為者、すなわち動作主を表します。
 「に」に言い換えることができます。

  (106) 私は先生から叱られました。
  (107) 彼から殴られました。
  (108) 両親から心配されている。
  (109) 先生から褒められた。
  (110) 警察から注意された。

 

物事の原因

 名詞につき、原因を表します。

  (111) 一瞬の迷いから失点した。
  (112) 冷えからくる腰痛。
  (113) 睡眠不足からくる倦怠感。
  (114) 日頃のストレスからイライラして友人にあたってしまった。
  (115) 不注意から事故を起こしてしまった。

 

根拠

 根拠を表します。
 よく「~から見て」などの形で用いられます。

  (116) 状況から見ても明らかだ。
  (117) これらから導き出される答えは一つ。
  (118) 成績から見ると志望校に行くことはできないだろう。
  (119) この実験から以下の結果が得られた。
  (120) このことから彼の無実は証明された。

 

格助詞「まで」の用法

範囲の終点

 範囲の終点を表します。

  (121) 家から学校まで2時間かかる。
  (122) 明日まで半額。
  (123) 日用品から資材まで何でも売っている。
  (124) ここまで15分経過しました。
  (125) 今日はここまでにしましょう。

 

格助詞「より」の用法

比較

 比較を表します。
 多くは「~は~より~だ」「~より~のほうが~だ」の形で用いられます。

  (126) 文字より電話の方が伝わりやすい。
  (127) 彼より若い。
  (128) 自分で運転するよりただ乗っているほうが酔い易い。
  (129) それより重要なことがあるでしょう。
  (130) 梨より林檎のほうが好き。

 

起点

 起点を表します。

  (131) これより手術を始める。
  (132) 白線より内側には入らないでください。
  (133) どうやら太陽系外より飛来してきたようだ。
  (134) 遠方よりわざわざご足労頂き、誠にありがとうございました。
  (135) 試験は今から30分後の2時より始めます。

 

格助詞「で」の用法

動作の場所

 動作が行われている場所を表します。

  (136) あそこ事故があったらしい。
  (137) ここご飯を食べよう。
  (138) 近くの公園カラオケ大会があるらしい。
  (139) 閑静な住宅地起きた凄惨な事件。
  (140) あそこちょっと休もう。

 

範囲

 範囲を表します。

  (141) 日本最も大きい都道府県は北海道。
  (142) 1つ10元のところ、今なら3つ20元。
  (143) 今世界中話題の動画を紹介します。
  (144) 人生一番感動したことを教えてください。
  (145) 元素の中は、水素が最も軽い。

 

手段・方法

 手段・方法・道具などを表します。

  (146) ここでは小さい声話してください。
  (147) 飛行機帰国する。
  (148) 自分の考え話してください。
  (149) のこぎり木を切る。
  (150) 大切なことは、心の目しか見えない。

 

材料

 物の材料を表します。

  (151) この歯車は真鍮できている。
  (152) 全て本物のダイヤ作られている。
  (153) 氷作られた像。
  (154) 木できた家。
  (155) つまようじ作られた東京タワーの模型。

 

理由・原因

 原因や理由を表します。

  (156) 台風休校になった。
  (157) 熱早退した。
  (158) 大雨電車が止まっている。
  (159) 金欠今月の生活が難しい。
  (160) 寝不足頭が働かない。

 

状態

 多くは身体的な状態を表します。

  (161) すっぽんぽん歩き回る。
  (162) 裸足出掛ける。
  (163) 大きな揺れを感じたから、着の身着のまま出てきた。
  (164) 裸家の中をうろつく。
  (165) お腹がすいた状態は何もできない。

 

数量

 数量を表します。

  (166) 一人散歩する。
  (167) クラス全員会議をする。
  (168) 1匹行動している狼。
  (169) これは国全体議論すべき問題だ。
  (170) 昔は幼馴染とよく2人歩いて学校にいったものだ。

 

事柄の成立に必要な物の量

 事柄の成立のため最低限必要な物の量を表します。

  (171) 3日全部暗記する。
  (172) 1と45になる。
  (173) あと1週間間に合いますか?
  (174) これ十分です。
  (175) 1人できます。

 

格助詞「の」の用法

名詞と名詞の関係性

 名詞と名詞をつなぎ、それらの関係性を表します。

  (176) 部屋
  (177) 佐藤さん
  (178) 『頭消しゴム』
  (179) 君
  (180) 私

 

名詞修飾節の主語

 名詞修飾節の主語の後につきます。
 「が」に言い換えることができます。

  (181) アイス食べたくなる季節
  (182) 彼寝ているとき
  (183) 私食べたいもの
  (184) BBQしたくなる天気
  (185) いつもゴミ箱置かれている場所

 

格助詞「と」の用法

並列

 名詞と名詞をつなぎ、並列であることを表します。

  (186) 私彼は学生です。
  (187) これそれは全部ネットで買いました。
  (188) それこれとは違う話だ。
  (189) 使うもの使わないものに分ける。
  (190) 新居にはベランダ地下室が欲しい。

 

一緒

 「一緒に」という意味を表します。

  (191) 私行きましょう。
  (192) 彼女結婚したい。
  (193) 猫一緒に布団で寝る。
  (194) 誰話しているんですか?
  (195) 音楽生きていく。

 

異同の判断基準

 多くは「~は~と同じ」「~は~と違う」のような文型をとり、判断基準を表します。

  (196) 私は母似ていない。
  (197) あの人のやり方は私同じです。
  (198) それは今話していること関係ない。
  (199) 君は私近い考えを持っている。
  (200) ここの料理はあそこの店比べてずいぶん劣る。

 

引用

 引用を表します。
 前の文は「 」でくくることができます。

  (201) 彼は今日来る言っていた。
  (202) 敬語は難しい思う。
  (203) お金を貸してほしい頼まれた。
  (204) 遠くから「助けて」聞こえた気がする。
  (205) 将来必ず一緒になろう誓った。

 

例を挙げる

 例を挙げるときに使われます。
 多くは同種のものを3つ挙げ、その後ろに「と」を置きます。

  (206) 日本、中国、韓国、各国がこぞって反対している。
  (207) 彼は野球、サッカー、バスケ、スポーツなら何でもできる。
  (208) 英語のみならず、日本語、中国語、彼女は語学に長けている。
  (209) ギター、料理、登山、幅広い趣味を持つ。
  (210) 日本には神様、妖怪、お化け、神秘的な存在が文化に根付いている。

 

格助詞「や」の用法

並列

 並列であることを表します。

  (211) 田中さん高橋さんが来ました。
  (212) 水食料が無事届きました。
  (213) 富名声は、結果であって目的ではない。
  (214) 手足に無数の傷跡がある。
  (215) 休日は映画ドラマをよく見ている。

 

日本語コラム

 「は」には主題や区別、対比、取り立てなど様々な用法がありますが、日本語学習者が使う参考書などにはほとんど書かれていない隠れた用法があります。

 例えば「イタリアはローマ」「時は寛永十六年」のような使い方です。
 世界ふしぎ発見のような色んな場所に行くテレビ番組などで耳にする機会があるのがこの言い方です。

係助詞「は」の場所や時間を表す用法

意味は「の」と同じ

 場所や時間を表す語について、単に「の」と同じ意味を表します。
 「場所(上位語)+は+場所(下位語)」「時間(上位語)+は+時間(下位語)」と、常に上位、下位の順番で接続されます。
 したがって「イタリアはローマ」と言うことはできますが、「ローマはイタリア」と言うことはできません。

 テレビのロケやリポート、旅番組などでその場所を現地で実際に紹介するときなどによく使われます。
 芝居がかっていて、親しみを感じるような表現です。

 

例文

  (1) 私たちは今どこにいるかというと… イタリアローマにやってきました!
  (2) ただいま北海道小樽から中継をお届けしています。
  (3) 今私は、アメリカニューヨークに来ています。
  (4) 時寛永十六年
  (5) 母方の祖先を7代さかのぼり、アフリカガンビア、ジュフレ村の少年クンタ・キンテに自分の根源を発見する。

 

 この赤線の「は」がまさに場所を表す用法。アフリカは上位語で、ガンビアはそのアフリカ大陸にある国です。
 ここでは「の」に言い換えても全く問題ありません。

 「は」の用法についての質問及び写真まで提供して頂き本当にありがとうございました。
 以上です。

日本語コラム

わざと

故意、意図的という点を強調

 物事の自然な成り行きや偶然に起こりえること故意に回避して、意図的に何かをすることを表します。
 多くは悪意を伴った意味を持つが、稀に中立的な意味にもなります。
 人によって意図的に行われたことを強調しています。
 「わざとらしい」という言い方もあります。

 

例文

  (1) 私のことが嫌いなのか、彼はわざと目を合わせない。
  (2) わざと怪我をして学校を休む。
  (3) わざと何も分からないふりをして、その場をやり過ごす。
  (4) わざと一つ大きめのサイズの服を着るようにしている。
  (5) スポーツなどで両者合意の上わざと負けることを「八百長」という。

 

わざわざ

その動作の特別性を強調

 何かのついでに行ったのではなく、労力を惜しまず(苦労して)そのためだけにしたことを表します。本来する必要のないことをしているのが特徴です。
 その動作がまさにそのためだけに行われていることを強調しています。
 基本的には動作主の好意や善意、心配などがもとになって動作が行われますが、その程度が過ぎると恩着せがましい感じを受けます。
 「~んだから/~のだから/~のに」と呼応することがあります。

 

例文

  (6) わざわざありがとうございます。
  (7) わざわざ来てくれてありがとう。
  (8) それはわざわざ言う必要ないことだ。
  (9) 私の誕生日をわざわざ覚えててくれて嬉しいです!
  (10) どうでもいいような事にまで、わざわざ文句をつける上司。
  (11) 夜一人は危ないからってわざわざ家まで送ってもらった。

 

あえて(敢えて)

困難や危険があるけど私はやる!

 本来する必要のないことを意図的に行う点は「わざわざ」と同じですが、「あえて」の場合はそれをすると何らかの困難や危険が伴います。しかし、それでも本人はそうするべきだと思っているときに使います。

 困難や危険とは、それをすることによって他人の反感を買ったり、非難されたり、あるいはそもそもその動作やりにくいなどです。
 自分の考え方や主張が強く表れる表現です。
 「あえて言うなら」という言い方もあります。

 

例文

  (12) あえて言うなら、髪の長いほうが好きです。
  (13) あえて1駅前で降りて歩いて帰る。
  (14) あえて終電逃した。
  (15) 人にはあえて厳しく接する。
  (16) 彼女の家に行ったけど、あえて何もせず帰ってきた。

 

まとめ

比較

  (17) わざと人の邪魔しに来る。
  (18) わざわざ人の邪魔をしに来る。
  (19) あえて人の邪魔をしに来る。

 まとめますと…
 「わざと」は故意を強調。
 「わざわざ」は動作がついでではなく、そのために行ったことを強調。
 「あえて」は困難や危険があるけど、そうするべきだと思ってるときに使う。

 (17)では、「故意に邪魔した」ことを強調しています。
 (18)では、邪魔するために「来た」ことを強調しています。
 (19)では、邪魔すると怒られたりするかもしれないけど、その人のために等何らかの理由があってそうするべきだから邪魔したことを表します。

 

練習問題

(20) 口論になるかもしれないから、その話には(   )触れなかった。
(21) (   )車から降りてきてファンに挨拶しているようだ。
(22) 彼氏が仕事終わりに会いたいからって(   )来てくれた。
(23) (   )値段は聞かなかったけど、高そうなのは見れば分かった。
(24) 走行中の自動車に近づいて(   )接触して交通事故を装う人を「当たり屋」と呼ぶ。
 
  1.わざと  2.わざわざ  3.あえて

 
 答えは…
(11) 3.あえて
(12) 2.わざわざ
(13) 2.わざわざ
(14) 3.あえて
(15) 1.わざと

 以上です。