日本語コラム

 「もともと」と「そもそも」は副詞として使うときに元来はじめからという意味を表します。
 「そもそも」には接続詞の用法もありますがここでは触れません。
 副詞としての2つの違いを考えます。

 

もともと

 意味は「元来」「はじめから」です。

  (1) もともとやる気はない。
  (2) 彼はもともと経済専攻だからこの分野には詳しい。
  (3) このペンはもともと私のものだ。

 「もともと」は以前の状態がそうであることを表すので、文末が過去形で終わる場合は今はそうではないことを表します

  (4) このペンはもともと私のものだった。
      (昔は私のもの、今は私のものじゃない)
  (5) ここはもともと旅館だったが、今は改装されてホテルになっている。
  (6) 私はもともとスポーツが好きではなかったんです。
      (昔は好きじゃないけど、今は好きみたいなニュアンス)
  (7) 彼女はもともと理系だった。
      (昔は理系だけど、今は理系じゃない)

 

そもそも

 意味は同じく「元来」「はじめから」ですが、「もともと」と使える場面がやや異なります。
 「そもそも」は叱ったり怒ったり、事実を突き詰めたり、非難する場面でよく使います。
 その程度は非常に強いものから軽く間違いを訂正する弱いものまであります。

 例えばこのような会話の時…

Aさん: 日本の仏教はもともと中国から伝わってきたんだよ。
Bさん: 実は中国の仏教はそもそもインドから伝わってきたんだ。
Aさん: そうだったんだ。

 Aさんは仏教は中国で生まれたものだと思っているのに対してBさんは間違いを指摘します。
 この時BさんはAさんの間違いを訂正する意図があって「そもそも」を使っていると思われます。

  (8) そもそもやる気はない。
       (もっとやる気を出せと言われたことに対する反論みたいな感じ)
  (9) このペンはそもそも私のものだ。
       (ペンの初期の所有者について喧嘩してる?)
  (10) 彼女はそもそも理系だ。
      (彼女を文系だと思って接する人がいる感じがする)

 このようなニュアンスがあるため、それらの関係性をより強調しているように聞こえます。

 

「もともと」と「そもそも」の違い

 意味自体は同じですから、原則としてお互い入れ替えることができます。

  (11) 私はもともとコーヒーを飲むのが好きだ。
  (12) 私はそもそもコーヒーを飲むのが好きだ。

  (13) アイディアというものはもともと知識がなければ生まれない。
  (14) アイディアというものはそもそも知識がなければ生まれない。

 「もともと」を使う場合は特に別の意図がありませんが、「そもそも」は事実誤認を訂正するニュアンスがあります。
 場合によっては語気が強まり過ぎて喧嘩腰になるので注意が必要です。

 

練習問題

 ちょっと練習してみましょう。

 練習問題
  問1 (    )あなたの考えは間違っている。
  問2 この本は(    )作者が日記として毎日書いていたものらしい。
  問3 (    )君が遅刻したからこんなことになってるんだ。
  問4 今回失敗してしまったのは(    )私たちの力不足が原因だ。
  問5 私は(    )大阪に住んでいた。

 怒っているような感じがあるときは「そもそも」がより良いですが、それが判断できないときはどちらでもいいです。
 実際は文脈によって使い分ける必要があります。

 
 答え
  問1 (そもそも)あなたの考えは間違っている。
  問2 この本は(もともと)作者が日記として毎日書いていたものらしい。
  問3 (そもそも)君が遅刻したからこんなことになってるんだ。
  問4 今回失敗してしまったのは(そもそも)私たちの力不足が原因だ。
  問5 私は(もともと)大阪に住んでいた。

 
 いろいろ参考にしてまとめてみました。
 もし間違いがあったら教えてください。

日本語コラム

 ひょんなことからインフルエンザの話になったときのお話です。

(人´∀`) ここインフルエンザみたいなのあんまり無いよね。
(*´・д・) いんふるえんざ? それはなんですか?
(人´∀`) インフルエンザは流行性感冒だよ。人にうつるから危ない。
(*´・д・) なるほど~ あと「うつる」ってなんですか?
(人´∀`) 伝染だよ。
(*´・д・) そっか! うつるの漢字はどう書きますか?
 
(*゚Д゚) (…やっべ分からん)
 
(人´∀`) ちょっと携帯で調べるね~(逃げ)

 で、調べた結果がこれ!
 ↓↓↓↓↓

 まず答えから行きましょう! 風邪が「うつる」の漢字は「移る」です。
 調べたら「遷る」でもいいらしいんですけど、こっちは普通都が遷るとかの方に使うほうが自然。しかも常用外でした。
 普通は「移る」ですね。

 
 と話はそこで終わるはずだったんですが、ここからは話は脱線。
 ちょっと青い四角のところ見てください。

 伝染る 感染る

 この2つこっそり居座ってるけど、なんだか影武者みたいな感じがしますね。
 これ実は、試験なんかで使ったらアウトになるやつ

 この使い方は所謂当て字と呼ばれるものです。

 

当て字(あてじ)

 当て字とは、漢字の持つ音を借りて無理やり当てはめた漢字のことです。

 古いところでいうとヤンキー層がよく使ってた「夜露死苦(よろしく)」
 今はもうほとんど瀕死の言葉、「本気(まじ)」
 今では違和感なく幅広く使われている「真面目(まじめ)」も元は当て字でした。

 当て字の中には市民権が得られているもの得られていないものがあります。
 上述した「真面目」はJLPTの単語集や広辞苑にも載っていて、今では問題なく確かな日本語としての地位を確立しています。
 しかしほとんどの当て字は市民権が得られないまま使われ、やがて自然に消滅していきます。

 
伝染る 感染る

 で、さっきの「伝染る」「感染る」は今はまだ市民権獲得とまでは行ってない段階です。
 もしかしたら今後幅広く使われ始めれば、いずれ辞書にも載るかもしれません。数十年単位の未来だと思いますが…。

 さらっとこう予測変換に出てこられると、そうやって自然に見て覚えた学生が使い始めてなんてこともなきにしもあらず。
 日本語の漢字には音読みと訓読みがありますが、漢字本来の読みではない読み方が出てきたら注意してください。
 それは当て字かもしれません。変な当て字だったらわざわざ覚える価値はありません。

 近年は子供にキラキラネームを付けるのが一部(?)流行していて、そのほとんどは無理やり感ある当て字です。
 我々日本人も初見では到底読めない当て字を使う場合もあります。
 キラキラネームの話はまた別の機会にまとめて紹介するとして…

 
 話は大きく逸れましたけど、風邪が「うつる」の漢字は「移る」です!
 「伝染る」と「感染る」は当て字だよ、試験で使ったら✕だよって分かったうえで使ってくださいね。

日本語コラム

 「家」は「うち」と「いえ」の2つの読み方があります。
 「うち」はそのまま平仮名で書かれることが多く、通常漢字で「家」を書けば多くの場合「いえ」と読みます。

 読み方によって意味が変わるので注意しましょう。

 

家(うち)

 うちは心理的な意味合いで使います。
 私の家族/私の家庭/私の家などの意味を持ち、英語のhomeやfamilyに相当。
 必ず「私の」の意味が含まれるので、他人に対して「うち」は使えません

  ◯ 私のうちには大きな庭があるよ
  ✕ 君のうちには大きな庭があるの?

 口語寄りの言葉なのでお堅い文章では使わない。

 

家(いえ)

 いえは主に建物としての家を指し物理的な意味合いで使います。これは英語のhouseに相当します。
 こちらは「私の」という意味はありませんから、自分の家でも他人の家でも使うことができます。

  ◯ 私のいえには大きな池があるよ
  ◯ 君のいえには大きな池があるの?

 中立的表現なので口語でも書き言葉でもOK。

 

「うち」と「いえ」の違い

 上の画像の通り「いえ」は「うち」の一部分で、この2つは包含関係が成り立ちます。
 「いえ」は全て「うち」に言い換えることができますが、「うち」は全て「いえ」に言い換えられるとは限りません。

 どちらを使ってもいい場合は、ニュアンスによって使い分けします。
 「うち」は親近感のある言い方で、対象との距離が近い感じがします。
 一方「いえ」は中立的な表現です。自分に対して使うとやや他人行儀な感じがします。

  ◎ うちの猫は1歳になった。 (猫に親近感。)
  ◯ いえの猫は1歳になった。 (中立的。猫に対して無関心かも?)
  ◎ 今度うちに遊びに来てね。
  ◯ 今度いえに遊びにきてね。

 建物自体を指す場合は「うち」が使えないときもあります。
 
  ◯ うちをリフォームした。
  ◯ いえをリフォームした。
  ✕ 父はうちをリフォームする仕事をしている。
  ◯ 父はいえをリフォームする仕事をしている。

 

まとめ

 「うち」は万能! 自分の家庭、家族を表す。
 親近感を表したいときは積極的にこっちを使った方が印象が良い。
 ただし中立で話したいときは「いえ」を使うべきだし、他人の家に対しては使えない。

 「いえ」は用法にちょっと制限あり。
 建物自体を指したり他人に対して使うのならこっち。
 自分の家族を指す場合は距離が遠くなるので注意。